1992年6月14日放送の J-WAVE「TOKIO HOT 100」を振り返る回顧コラムです。当時のチャート上位曲を手がかりに、その週の音楽シーンを読み解きます。
本サイトは非公式のファンサイトです。チャートデータの出典:J-WAVE「TOKIO HOT 100」(1992年6月14日放送回)。
この週の音楽シーン
1992年6月14日放送回のTOP10で1位に輝いたのは、スウィング・アウト・シスターの「AM I THE SAME GIRL」だった。この曲は、シカゴ・ソウルの名曲として知られる「Am I the Same Girl」を下敷きにした一曲で、コリーヌ・ドリュワリーの伸びやかで知的な歌声と、洗練されたホーンアレンジが印象的なナンバーだ。スウィング・アウト・シスターといえば「Breakout」で一世を風靡した英国出身のユニットだが、1992年当時は単なるヒットメーカーという枠を超え、ソフィスティ・ポップやAOR、ジャズやソウルの語法を巧みに取り込んだ、大人のリスナーにも支持される音楽性を確立していた時期にあたる。TOKIO HOT 100というチャート自体が、当時の東京のクラブカルチャーやシティポップ的な感性と地続きの洋楽リスナー層に向けて発信されていたことを思えば、この曲が1位を獲得したことは象徴的だ。
この週のTOP10を見渡すと、1992年という時代の空気が色濃く反映されている。2位のソウルIIソウルはUKソウル・シーンを牽引した存在であり、ネオアコやアシッド・ジャズの潮流とも共振していた。3位のウィルソン・フィリップスは、米国西海岸的な洗練されたハーモニーポップの代表格で、当時のAC(アダルト・コンテンポラリー)チャートでも強さを見せていたグループだ。4位のクリス・クロスは、キッズ・ヒップホップという新しい切り口で全米を席巻した存在で、ジャンルの多様化が進んでいたことを物語っている。こうした顔ぶれが同じチャートに並ぶこと自体が、当時のTOKIO HOT 100が持っていた懐の深さを示している。
5位のポール・ウェラーは、スタイル・カウンシル解散後、ソロアーティストとしての再出発を模索していた時期であり、6位のライオネル・リッチーはコモドアーズ時代から続くソウルフルなポップスの職人技を発揮し続けていた。7位のジェネシスは、フィル・コリンズを擁するバンドとして商業的にも絶頂期にあり、8位のワークシャイ、9位のフラ・リッポ・リッポといった、当時の日本の洋楽ファンの耳の肥え具合を試すような選曲も、このチャートならではの魅力だったといえる。そして10位のアン・ヴォーグは、洗練されたR&Bガールグループとして、その後のガールズグループ・シーンの礎を築いていく存在だった。
こうして振り返ると、1992年6月のTOKIO HOT 100は、ソウル、AOR、ヒップホップ、UKロックといった多彩なジャンルが渾然一体となって共存していた時代の縮図のようなチャートだったことがわかる。「AM I THE SAME GIRL」が1位に選ばれた背景には、単なる懐古的なカバーソングとしてではなく、90年代的な洗練とソウル・ミュージックへのリスペクトを併せ持った楽曲として、当時のリスナーに新鮮に響いたことがあったのだろう。ジャンルの境界が緩やかに溶け合いながらも、それぞれの個性が際立っていたこの時代の空気を、このTOP10は今なお鮮やかに伝えている。
1992年6月14日付 TOP10(出典:J-WAVE TOKIO HOT 100)
- 1位 AM I THE SAME GIRL — SWING OUT SISTER ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 2位 JOY — SOUL Ⅱ SOUL ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 3位 YOU WON’T SEE ME CRY — WILSON PHILLIPS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 4位 JUMP — KRIS CROSS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 5位 UH HUH ON YEAR — PAUL WELLER ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 6位 DO IT TO ME — LIONEL RICHIE ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 7位 HOLD ON MY HEART — GENESIS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 8位 TROUBLE MIND — WORKSHY ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 9位 STICHERS AND BURNS — FRA LIPPO LIPPO ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 10位 MY LOVIN’ — EN VOGUE ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す


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