1990年4月8日放送の J-WAVE「TOKIO HOT 100」を振り返る回顧コラムです。当時のチャート上位曲を手がかりに、その週の音楽シーンを読み解きます。
本サイトは非公式のファンサイトです。チャートデータの出典:J-WAVE「TOKIO HOT 100」(1990年4月8日放送回)。
この週の音楽シーン
1990年4月8日放送の「TOKIO HOT 100」を振り返ると、1位に輝いていたのはダイアナ・ロスの「IF WE HOLD ON TOGETHER」だった。この曲はもともと映画「ザ・ランド・ビフォア・タイム」のために書かれたバラードで、家族や仲間との絆をやさしく歌い上げる内容が、当時のアダルト・コンテンポラリー層からも広く支持された一曲だ。シュープリームスから続くダイアナ・ロスのキャリアの中でも、80年代終わりから90年代初頭にかけての彼女は、円熟した声で聴かせるバラードシンガーとしての存在感を強めていた時期であり、この曲もその流れの中で自然と受け入れられたのだろう。
TOP10全体を眺めると、1990年という時代の空気が濃く漂っている。2位にはジャネット・ジャクソンの「ESCAPADE」。前年のアルバム「Rhythm Nation 1804」から放たれたダンサブルなナンバーで、ジャム&ルイスによるプロデュースの緻密なグルーヴが際立つ。3位のリチャード・マークスや5位のテイラー・デインは、いわゆるAOR/ポップス的な質感を持つアーティストで、メロディ重視のバラード・ミッドテンポが根強い人気を保っていたことがうかがえる。4位のフィル・コリンズは、ソロ活動でもジェネシスでも80年代を代表する存在であり、ソウルフルな「I WISH IT WOULD RAIN DOWN」はエリック・クラプトンのギターが印象的な一曲としても知られている。
一方で、6位のミシェル、7位のポーラ・アブドゥル、9位のリサ・スタンスフィールドといった名前からは、ニュージャックスウィングやブラックコンテンポラリーがチャートの中心に食い込んできていた時代の流れも感じ取れる。ポーラ・アブドゥルはダンサーからポップスターへと転身した経歴を持ち、当時のMTV文化とダンスミュージックの結びつきを象徴する存在だった。リサ・スタンスフィールドの「ALL AROUND THE WORLD」は、イギリス出身のシンガーがソウルフルな歌唱でアメリカのチャートにも進出していく、ブリティッシュ・ソウルの勢いを感じさせる一曲だ。
そして10位に食い込んでいるテクノトロニックの「GET UP(BEFORE THE NIGHT IS OVER)」は、ユーロビートやハウス的な要素を取り込んだダンスミュージックがアメリカのメインストリームにも浸透し始めていたことを物語る。80年代後半から90年代初頭にかけては、こうしたヨーロッパ発のダンストラックがラジオチャートにも顔を出すようになり、音楽シーンが多様化していく過渡期だったことがよくわかる。
こうして並べてみると、1990年4月というこの週のTOP10は、80年代的なメロディアスなポップス・バラードの余韻と、ダンスミュージックやニュージャックスウィングといった新しい潮流が同時に存在していた、まさに時代の折り目のような瞬間を切り取っている。1位のダイアナ・ロスが持つ包容力のある歌声が、そうした多様なサウンドの中でも静かに支持を集めていたことは、時代を超えて愛されるバラードの強さを改めて感じさせる。当時ラジオから流れてきたこれらの曲を思い出しながら聴き直すと、90年代の幕開けの空気が今も鮮やかに立ち上ってくるようだ。
1990年4月8日付 TOP10(出典:J-WAVE TOKIO HOT 100)
- 1位 IF WE HOLD ON TOGETHER — DIANA ROSS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 2位 ESCAPADE — JANET JACKSON ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 3位 TOO LATE TO SAY GOODBYE — RICHARD MARX ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 4位 I WISH IT WOULD RAIN DOWN — PHIL COLLINS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 5位 LOVE WILL LEAD YOU BACK — TAYLOR DAYNE ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 6位 NO MORE LIES — MICHEL’LE ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 7位 OPPOSITES ATTRACT — PAULA ABDUL ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 8位 A LITTLE LOVE — COREY HART ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 9位 ALL AROUND THE WORLD — LISA STANSFIELD ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 10位 GET UP(BEFORE THE NIGHT IS OVER) — TECHNOTORONIC ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す


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