1989年6月25日放送の J-WAVE「TOKIO HOT 100」を振り返る回顧コラムです。当時のチャート上位曲を手がかりに、その週の音楽シーンを読み解きます。
本サイトは非公式のファンサイトです。チャートデータの出典:J-WAVE「TOKIO HOT 100」(1989年6月25日放送回)。
この週の音楽シーン
1989年6月25日放送の「TOKIO HOT 100」を振り返ると、栄えある1位に輝いたのはポール・マッカートニーの「MY BRAVE FACE」だった。この曲は、ビートルズ解散後のソロキャリアの中でも特に注目された「FLOWERS IN THE DIRT」からのシングルで、共作者にエルヴィス・コステロを迎えたことでも話題を呼んだ一曲である。ポップでありながらどこかビートルズ時代を彷彿とさせるコーラスワークやメロディーラインは、当時のリスナーに懐かしさと新しさを同時に感じさせたのではないだろうか。ちょうどこの時期、ポールは長らく遠ざかっていたライブ活動を再開しようとしていたタイミングでもあり、この曲のヒットは彼にとって新たなスタートを象徴するものだったといえる。
TOP10全体を眺めると、1989年という年がいかに多彩な音楽性に彩られていたかがよくわかる。2位にはマイケル・ダミアンの「ROCK ON」がランクインしているが、これはデヴィッド・エセックスの1973年のヒット曲のカバーで、テレビドラマ発のヒットとしても知られる。オールディーズへのオマージュが新たな世代に届けられていた時代背景がうかがえる。3位のドゥービー・ブラザーズ「THE DOCTOR」は、バンドとしての息の長い活動を感じさせる楽曲で、ロックバンドがまだまだ現役感を保っていた時代の空気を伝えている。
4位にはマドンナの「EXPRESS YOURSELF」がランクイン。アルバム「Like a Prayer」からのシングルで、フェミニズム的なメッセージ性とダンサブルなサウンドを融合させた、マドンナのアーティストとしての成熟を示す代表曲のひとつだ。ミュージックビデオも当時大きな話題となり、映像表現においても時代の先端を走っていたことがうかがえる。5位のリチャード・マークスの「SATISFIED」も、AOR的な洗練とロックのエッジを併せ持つサウンドで人気を博していた。
6位のボビー・ブラウンや7位のニュー・キッズ・オン・ザ・ブロックは、まさにこの時期に台頭してきたR&B・ダンスミュージックの新しい波を象徴する存在だ。ニュー・キッズは後にティーンアイドルとして一世を風靡することになるが、この頃はまだそのブレイク前夜だったことを思うと感慨深い。8位のジュリア・フォードハムはイギリス出身のシンガーソングライターで、都会的で洗練されたAORサウンドが日本のリスナーにも支持されていた。
9位のベット・ミドラー「WIND BENEATH MY WINGS」は映画「Beaches」の主題歌として大ヒットし、バラードの名曲として長く歌い継がれることになる楽曲だ。10位のスティーヴィー・ニックスは、フリートウッド・マックのメンバーとしてもソロとしても活躍する彼女らしい、ミステリアスな雰囲気を持つ楽曲をランクインさせている。
こうして振り返ると、1989年という年は、ロックの重鎮たちがまだまだ現役感を保ちながら、マドンナのようなポップアイコンや、ニュー・キッズのような新世代アーティストが台頭してくる、まさに音楽シーンの過渡期だったことがわかる。ポール・マッカートニーの1位という結果は、そうした新旧の潮流が交錯する中でも、確かな音楽性が支持され続けていたことを物語っているのではないだろうか。
1989年6月25日付 TOP10(出典:J-WAVE TOKIO HOT 100)
- 1位 MY BRAVE FACE — PAUL MCCARTNEY ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 2位 ROCK ON — MICHAEL DAMIAN ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 3位 THE DOCTOR — DOOBIE BROTHERS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 4位 EXPRESS YOURSELF — MADONNA ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 5位 SATISFIED — RICHARD MARX ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 6位 EVERY LITTLE STEP — BOBBY BROWN ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 7位 I’LL BE LOVING YOU(FOREVER) — NEW KIDS ON THE BLOCK ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 8位 HAPPY EVER AFTER — JULIA FORDHAM ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 9位 WIND BENEATH MY WINGS — BETTE MIDLER ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 10位 ROOMS ON FIRE — STEVIE NICKS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す


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