2015年4月5日放送の J-WAVE「TOKIO HOT 100」を振り返る回顧コラムです。当時のチャート上位曲を手がかりに、その週の音楽シーンを読み解きます。
本サイトは非公式のファンサイトです。チャートデータの出典:J-WAVE「TOKIO HOT 100」(2015年4月5日放送回)。
この週の音楽シーン
2015年4月5日放送分のTOP10を眺めると、この週がいかに多層的な音楽的地図を描いていたかがよくわかる。邦楽ロックの大ベテランから海外の最先端ポップス、国産ファンクユニット、そして日本語詞のオルタナティブバンドまでが同じ十曲の中に共存している。TOKIO HOT 100らしい、ジャンルや国籍を横断する並びの中で、頂点に立ったのがサザンオールスターズ「アロエ」だった。
サザンオールスターズは1978年のデビュー以来、日本のポピュラー音楽の中心であり続けてきたバンドであり、桑田佳祐の作る旋律とことば運びは、時代ごとに姿を変えながらも常に「今のJ-POP」の基準線を引いてきた。2010年代前半は桑田佳祐の体調をめぐる大きな出来事があり、そこからの本格的なバンド活動という文脈のなかで送り出された楽曲群は、ファンだけでなく音楽シーン全体からも注目を集めていた。「アロエ」はそうした流れの中に置かれた一曲で、軽やかなアレンジと余裕のある歌い口に、長く第一線であり続けてきたバンドならではの成熟が滲む。ベテランでありながら新曲がチャート最上位に来ること自体が、日本の音楽市場における「定番」の強さを物語っていた。
2位のCARLY RAE JEPSEN「I REALLY LIKE YOU」は、シンセポップの伸びやかさとティーンエイジ的な高揚感を凝縮したような一曲で、後にリリースされるアルバム『E•MO•TION』への期待を高めていた時期の楽曲である。3位のTUXEDOはMayer HawthorneとプロデューサーJake Oneによるユニットで、80年代ブギー・ファンクへのオマージュを現代的な質感で鳴らし、当時のシティポップ再評価の機運とも呼応する存在だった。4位には大原櫻子の「HAPPY DAYS」がランクインしており、女優としても知られる彼女の伸びやかな歌声が、フレッシュな存在感としてチャートに彩りを加えている。
5位のMADONNA「LIVING FOR LOVE」は、2015年3月に発表されたアルバム『Rebel Heart』の先行曲であり、キャリアを重ねてなお第一線であり続けようとするアーティストの気迫が感じられる楽曲だった。6位のZEDD feat. SELENA GOMEZ「I WANT YOU TO KNOW」は、当時世界的に隆盛を極めていたEDMのわかりやすい享楽性を体現しており、7位のEXILE「DANCE INTO FANTASY」は国内ダンス&ボーカルグループの王道を行くスケール感のある楽曲だった。
そして8位のMARK RONSON feat. BRUNO MARS「UPTOWN FUNK」は、この時期すでに世界中のチャートを席巻していた一曲で、ファンクのグルーヴをポップスの文法に落とし込んだ完成度の高さから、のちに数々の音楽賞を獲得することになる。9位のKENDRICK LAMAR「I」は、アルバム『To Pimp a Butterfly』からの一曲で、ヒップホップが社会的なメッセージ性と芸術性を高いレベルで両立させていく、その転換点を象徴する存在として批評的にも高く評価されていた。10位のクラムボン「アジテーター」は、原田郁子のボーカルが持つ透明感と、バンドとしての実験精神が息づく一曲で、邦楽インディー/オルタナティブの厚みをチャートに刻んでいた。
こうして見渡すと、この週のTOP10は、ベテランバンドの安定感、海外ポップスの多様な潮流、国内アイドル・アーティストの台頭、そしてヒップホップやEDMといった同時代的なジャンルの熱量までを一望できる、いわば2015年春という時代の縮図だったといえる。一位を飾ったサザンオールスターズ「アロエ」は、そうした多様な音楽が並ぶ中で、日本のポピュラー音楽の背骨としての存在感を静かに示していた一曲だった。
2015年4月5日付 TOP10(出典:J-WAVE TOKIO HOT 100)
- 1位 アロエ — サザンオールスターズ ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 2位 I REALLY LIKE YOU — CARLY RAE JEPSEN ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 3位 DO IT — TUXEDO ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 4位 HAPPY DAYS — 大原 櫻子 ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 5位 LIVING FOR LOVE — MADONNA ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 6位 I WANT YOU TO KNOW — ZEDD FEAT. SELENA GOMEZ ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 7位 DANCE INTO FANTASY — EXILE ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 8位 UPTOWN FUNK — MARK RONSON FEAT. BRUNO MARS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 9位 I — KENDRICK LAMAR ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 10位 アジテーター — クラムボン ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す


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