2024年4月21日放送の J-WAVE「TOKIO HOT 100」を振り返る回顧コラムです。当時のチャート上位曲を手がかりに、その週の音楽シーンを読み解きます。
本サイトは非公式のファンサイトです。チャートデータの出典:J-WAVE「TOKIO HOT 100」(2024年4月21日放送回)。
この週の音楽シーン
2024年4月21日放送の「TOKIO HOT 100」で首位に立ったのは、ヴァンパイア・ウィークエンドの「CLASSICAL」だった。ニューヨークのバンド・シーンから登場し、アフロポップ的なギターの跳ねと文学的な歌詞世界で独自の地位を築いてきたエズラ・クーニグ率いるこのバンドにとって、2024年はニューアルバム「Only God Was Above Us」を携えての本格復帰の年にあたる。長いキャリアの中で培われてきた、皮肉と洗練が同居する作風は、この一曲にも色濃く表れており、単なる懐かしさではなく「今」を感じさせるバンドサウンドとして、多くのリスナーの耳を捉えたのだろう。ギターロックがストリーミング全盛の時代にどう生き残るかという問いに対する、ひとつの説得力ある回答がここにあったように思う。
この週のTOP10を眺めると、時代の重層性が見えてくる。2位には小沢健二とスチャダラパーによる「ぶぎ・ばく・べいびー」がランクイン。かつて日本の音楽シーンに大きな足跡を残した名曲を想起させるコラボレーションは、世代を超えて聴かれる強さを持っていた。一方で4位のILLIT「MAGNETIC」は、2024年にデビューしたばかりのK-POPグループによるフレッシュな一曲。K-POP新人グループが次々とグローバルなヒットチャートに食い込んでくる勢いは、この年の音楽シーンを語る上で欠かせない現象のひとつだった。3位のレミ・ウルフ「CINDERELLA」もまた、独自のポップセンスで注目を集めていたアーティストの一人で、新旧・国境を越えたポップミュージックの多様性がこの週のチャートには凝縮されている。
邦楽勢も存在感を放っていた。5位の藤井風「満ちてゆく」はドラマ主題歌として広く聴かれ、6位の米津玄師「さよーならまたいつか!」は連続テレビ小説の主題歌として茶の間にも浸透していた楽曲だ。こうした「ドラマ発」のヒットが上位に食い込む構図は、テレビというメディアが依然として音楽との強い接点を持ち続けていることを示している。ストリーミングとSNSが主戦場になった時代にあっても、朝の連続ドラマや夜のゴールデンタイムのドラマ主題歌が持つ拡散力は健在だったということだろう。
洋楽勢に目を移すと、7位にはビヨンセの「TEXAS HOLD ‘EM」がランクイン。カントリーというジャンルへの越境的なアプローチで大きな話題を呼んだこの曲は、2024年の音楽シーンにおけるジャンルの垣根の低さを象徴する存在だった。8位のロサ・リン「UNIVERSE」は、ユーロビジョン発の楽曲がSNSでの再拡散を経てロングヒットへと育っていく、現代的なヒットの生まれ方を体現していた一曲。9位のシャキーラとカーディ・Bによる「PUNTERIA」は、ラテン音楽とヒップホップの融合が国際的なチャートで力を持ち続けていることを物語っている。
そして10位には、宇多田ヒカルの「SOMEWHERE NEAR MARSEILLES ーマルセイユ辺りー」のSCI-FI EDIT版がランクイン。オリジナルの楽曲を新たなアレンジで聴かせるこうした試みは、既存曲に新しい命を吹き込み、リスナーに再発見の機会を与える。ベテランアーティストが実験精神を失わずにいる姿は、このチャートの奥行きを示す一例だろう。
こうして俯瞰すると、2024年4月21日という一週間には、新人バンドの再定義的なヒット、世代を超えたコラボレーション、K-POPの新勢力、ドラマタイアップの強さ、そしてジャンル越境的な洋楽の話題作が、見事に併存していたことが分かる。首位のヴァンパイア・ウィークエンドが体現した「知性と遊び心の同居」は、この週のチャート全体を貫く空気そのものだったのかもしれない。
2024年4月21日付 TOP10(出典:J-WAVE TOKIO HOT 100)
- 1位 CLASSICAL — VAMPIRE WEEKEND ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 2位 ぶぎ・ばく・べいびー — 小沢健二とスチャダラパー ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 3位 CINDERELLA — REMI WOLF ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 4位 MAGNETIC — ILLIT ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 5位 満ちてゆく — 藤井 風 ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 6位 さよーならまたいつか! — 米津 玄師 ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 7位 TEXAS HOLD ‘EM — BEYONCE ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 8位 UNIVERSE — ROSA LINN ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 9位 PUNTERIA — SHAKIRA, CARDI B ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 10位 SOMEWHERE NEAR MARSEILLES ーマルセイユ辺りー (SCI-FI EDIT) — 宇多田 ヒカル ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す


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