2007年8月5日放送の J-WAVE「TOKIO HOT 100」を振り返る回顧コラムです。当時のチャート上位曲を手がかりに、その週の音楽シーンを読み解きます。
本サイトは非公式のファンサイトです。チャートデータの出典:J-WAVE「TOKIO HOT 100」(2007年8月5日放送回)。
この週の音楽シーン
2007年8月5日放送の「TOKIO HOT 100」でトップに立ったのは、MONKEY MAJIKの「空はまるで」だった。盛岡を拠点にカナダ出身の兄弟を中心に活動してきたこのバンドは、洋楽的なコーラスワークと日本語詞をなめらかに接続する作風で、邦楽と洋楽を並列に流すJ-WAVEのチャートにこそ似合う存在だったと言える。夏の空気を切り取ったような開放的なサウンドは、当時のラジオリスナーが求めていた「季節を運ぶ一曲」として受け止められていたはずだ。国内外のルーツを併せ持つバンドが邦楽チャートの頂点に立つという構図自体が、2007年という時代の空気――邦楽と洋楽の境界が徐々に溶けていく過渡期――を象徴していたようにも思える。
この週のトップ10を眺めると、その混淆ぶりがよくわかる。2位にはUKのMELEE、3位にはあのPRINCEが「GUITAR」で顔を出している。PRINCEのこの曲は、当時イギリスの新聞に無料でアルバムを添付するという型破りな配布方法で話題をさらったナンバーで、CDセールスが右肩下がりになりつつあった時代に、ベテランアーティストがどう音楽を届けるかを模索していた象徴的な出来事だった。7位のMUTYA BUENAは人気グループSugababesを離れてソロに転じたばかりのアーティストであり、8位のTUOMOはフィンランド出身という異色の経歴を持つソウルシンガーだった。こうした顔ぶれが並ぶこと自体、TOKIO HOT 100が単なる国内ヒットチャートではなく、世界の音楽動向を映す窓であったことを物語っている。
邦楽勢も負けてはいない。4位のRIP SLYMEは「熱帯夜」というタイトル通り、真夏のクラブやドライブに似合うグルーヴを提示し、5位のBONNIE PINKは自身のポップセンスを英語詞にも溶け込ませる「GIMME A BEAT」で存在感を示した。6位のCHEMISTRYは男性デュオらしい伸びやかなハーモニーで夜の情景を歌い上げ、10位には安室奈美恵の「HIDE AND SEEK」がランクイン。彼女はこの時期すでにデビューから10年以上を経ながらも、ダンスミュージックのトレンドを貪欲に取り込み続けており、その姿勢は後年のさらなる進化を予感させるものだった。9位のSUM41は2000年代のポップパンク/エモムーブメントを牽引したバンドの一角として、当時のロックリスナーの支持を集めていた。
2007年という年は、iPodやiTunes Storeの普及によって音楽の聴き方そのものが大きく変わりつつあったタイミングでもある。CDというパッケージから楽曲単位での消費へと軸足が移り、着うたフルのランキングと連動するようにラジオのヒットチャートも変化していった。そうした過渡期にあって、「TOKIO HOT 100」はジャンルや国籍にとらわれず「今すべての人が聴いている曲」を提示するという役割を担っていたのだろう。MONKEY MAJIKの「空はまるで」が首位に輝いたこの週のチャートは、邦楽・洋楽・世代・国籍という境界線がゆるやかに溶け合っていた2007年の夏を、そのまま切り取ったスナップショットのように今も鮮やかに響く。
2007年8月5日付 TOP10(出典:J-WAVE TOKIO HOT 100)
- 1位 空はまるで — MONKEY MAJIK ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 2位 BUILT TO LAST — MELEE ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 3位 GUITAR — PRINCE ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 4位 熱帯夜 — RIP SLYME ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 5位 GIMME A BEAT — BONNIE PINK ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 6位 THIS NIGHT — CHEMISTRY ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 7位 REAL GIRL — MUTYA BUENA ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 8位 DON’T TAKE IT TOO HARD — TUOMO ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 9位 UNDERCLASS HERO — SUM 41 ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 10位 HIDE AND SEEK — 安室 奈美恵 ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す


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