1997年10月5日放送の J-WAVE「TOKIO HOT 100」を振り返る回顧コラムです。当時のチャート上位曲を手がかりに、その週の音楽シーンを読み解きます。
本サイトは非公式のファンサイトです。チャートデータの出典:J-WAVE「TOKIO HOT 100」(1997年10月5日放送回)。
この週の音楽シーン
1997年10月5日放送の「TOKIO HOT 100」で1位に輝いたのは、MARIAH CAREYの「HONEY」だった。当時のマライア・キャリーは、それまでのバラード寄りのイメージからさらに踏み込み、ニューヨークのヒップホップ/R&Bシーンと積極的に交わろうとしていた時期にあたる。「HONEY」はそのタイトル通り甘く滑らかなメロディを持ちながら、ビートの組み方やアレンジには当時のブラック・ミュージックの空気が色濃く反映されており、シンガーとしての表現の幅を広げようとする意欲作として受け止められていた楽曲だ。この週のチャート全体を見渡すと、まさにその「HONEY」を象徴とするように、R&B/ヒップホップ的な感覚がポップスの主流に食い込んでいた時代性が浮かび上がってくる。
4位にはJANET JACKSONの「GOT ‘TIL IT’S GONE」がランクインしている。この曲はジョニ・ミッチェルのフレーズを引用しつつ、Qティップらが制作に関わったとされる作品で、ジャネットが90年代を通じて更新し続けてきた洗練されたグルーヴ感覚が発揮されていた。また7位のPUFF DADDY & FAITH EVANS FEAT.112「I’LL BE MISSING YOU」は、前年に世を去ったザ・ノトーリアス・B.I.G.への追悼として制作された楽曲であり、90年代後半のヒップホップ・シーンが直面していた光と影を象徴する存在だった。サンプリングを軸にしたトラックメイクの手法が広く一般に浸透していった時期でもあり、こうした曲がチャート上位に並ぶこと自体が、時代の空気をよく伝えている。
一方でロック方面に目を向けると、2位にOASISの「STAND BY ME」が入っている。ブリットポップ全盛期を牽引したバンドが、普遍的なタイトルを掲げてスケール感のあるサウンドを鳴らしていた頃だ。9位のTHE ROLLING STONESもまた健在ぶりを示しており、ベテランと若手が同じチャートの中で共存していたことがわかる。こうした振れ幅の大きさは、当時のJ-WAVEのプレイリストが持っていた懐の深さを物語っていると言えるだろう。
邦楽勢としては10位にCHARAの「ミルク」がランクインしている。90年代後半の邦楽シーンでは、洋楽的な感覚を自然に取り込んだアーティストたちが独自の存在感を放っており、CHARAもまたそのひとりだった。透明感のある声質と脱力したような歌い回しは、海外のR&Bやオルタナティブとも共振しうる普遍性を持っていたと言える。
6位のBJORKによる「JOGA」も見逃せない。アイスランド出身の彼女が示す実験的なサウンドメイクは、ポップとアートの境界を軽やかに越えていくものであり、この時期のシーンの多様性を象徴する一曲だった。5位のULTRA NATEによるダンス・ミュージック、8位のOMARが体現するUKソウルの潮流なども含め、この週のTOP10はジャンルを問わず良質なグルーヴが評価されていたことを示している。
こうして並べてみると、1997年秋という時期は、ヒップホップ/R&Bの美意識がポップスの中心に浸透し、ロックやダンス、オルタナティブ、そして邦楽までもが同じ土俵で鳴り響いていた、実に豊かな瞬間だったことがわかる。MARIAH CAREYの「HONEY」が1位に輝いたこの週は、まさにその混淆と成熟を象徴するチャートだったのではないだろうか。
1997年10月5日付 TOP10(出典:J-WAVE TOKIO HOT 100)
- 1位 HONEY — MARIAH CAREY ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 2位 STAND BY ME — OASIS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 3位 4 SEASONS OF LONELINESS — BOYZ II MEN ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 4位 GOT ‘TIL IT’S GONE — JANET JACKSON ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 5位 FREE — ULTRA NATE ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 6位 JOGA — BJORK ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 7位 I’LL BE MISSING YOU — PUFF DADDY & FAITH EVANS FEAT.112 ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 8位 SAY NOTHIN’ — OMAR ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 9位 ANYBODY SEEN MY BABY? — THE ROLLING STONES ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 10位 ミルク — CHARA ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す


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