2024年6月9日放送の J-WAVE「TOKIO HOT 100」を振り返る回顧コラムです。当時のチャート上位曲を手がかりに、その週の音楽シーンを読み解きます。
本サイトは非公式のファンサイトです。チャートデータの出典:J-WAVE「TOKIO HOT 100」(2024年6月9日放送回)。
この週の音楽シーン
2024年6月9日放送の「TOKIO HOT 100」で首位を飾ったのは、ポスト・マローンがモーガン・ウォーレンを迎えた「I HAD SOME HELP」だった。この一曲は、当時のアメリカ音楽シーンで顕在化していた「ヒップホップ/ポップとカントリーの融合」という潮流を象徴する存在だったと言える。ポスト・マローンはこれまでもトラップやエモラップの文脈で活動してきたアーティストだが、この時期はカントリー的な質感を前面に押し出す方向へと表現を広げつつあった。共演のモーガン・ウォーレンは、現代アメリカのカントリー・シーンを象徴する存在であり、二人の組み合わせ自体が「ジャンルの垣根が薄れていく2020年代半ばのアメリカ音楽」を体現していた。ざらついたギターのテクスチャーとポップなメロディーライン、そしてどこか気だるく投げやりなボーカルの質感が同居する作りは、ラジオのヘビーローテーションに乗りやすい強度を持ちながらも、単純なポップソングには収まらない奥行きを感じさせるものだった。
この週のTOP10全体を眺めると、単一の潮流だけでは語れない、多層的な景色が広がっている。2位にはSLOWEの「SUPEREGO」がランクインし、国内シーンの新しい感性が存在感を示していた。3位のスチャダラボース&STUTS feat. PUNPEEによる「POINTLESS 5」は、日本語ラップが単なるブームではなく、世代を超えて成熟した表現として確立されていたことを物語る一曲だ。STUTSのトラックメイキングとPUNPEEのフロウ、そしてスチャダラパーの持つユーモアと批評性が重なり合うことで、日本語ラップ特有の「軽さと深さの共存」が鮮やかに描かれていた。
K-POPの存在感も見逃せない。4位のNewJeans「HOW SWEET」、8位のILLIT「MAGNETIC」は、いわゆる「第4世代」K-POPが持つミニマルで洗練されたプロダクションと、Y2K的な質感への回帰志向を象徴していた。9位にはXGの「WOKE UP」も入り、日本発のグローバル・ガールズグループが海外市場も見据えたサウンドで存在感を放っていたことがわかる。こうした動きは、単なる「K-POP人気」という括りではなく、東アジア発のポップ・ミュージックがグローバルなリスナー層に向けて発信されるフォーマットとして定着しつつあった時期の空気を映し出している。
5位には米津玄師の「毎日」がランクインしている。国民的ヒットメイカーとしての地位を確立していた米津は、この時期も独自の作家性を保ちながら幅広いリスナーに届く楽曲を提供し続けていた。日常的な題材をタイトルに据えたこの曲は、彼らしい繊細な言葉選びとメロディーの強度が両立した一曲として、チャートの中でも異彩を放っていた。
ビリー・アイリッシュは6位「LUNCH」、10位「BIRDS OF A FEATHER」と二曲同時にTOP10入りしており、この時期のアルバム単位での支持の強さがうかがえる。ミニマルでありながら生々しい質感を持つ彼女のサウンドは、2020年代のポップスにおける「静かな強度」を代表するものだった。また7位のGINGER ROOTの「NO PROBLEMS」は、シティポップやレトロ・ソウルへの再評価という当時のリスナー感性を反映しており、ノスタルジックでありながらも現代的なグルーヴを併せ持つプロダクションが印象的だった。
こうして振り返ると、この週のTOP10は、ジャンルの境界が溶け合いながらも各アーティストの個性がしっかりと立っている、非常にバランスの取れたラインナップだったと言える。ポスト・マローンとモーガン・ウォーレンの首位獲得は、その象徴的な出来事として、当時のポップ・ミュージックが向かっていた方向性を的確に映し出していたのではないだろうか。
2024年6月9日付 TOP10(出典:J-WAVE TOKIO HOT 100)
- 1位 I HAD SOME HELP — POST MALONE FEAT. MORGAN WALLEN ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 2位 SUPEREGO — SLOWE ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 3位 POINTLESS 5 — スチャダラパー & STUTS FEAT. PUNPEE ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 4位 HOW SWEET — NEWJEANS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 5位 毎日 — 米津 玄師 ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 6位 LUNCH — BILLIE EILISH ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 7位 NO PROBLEMS — GINGER ROOT ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 8位 MAGNETIC — ILLIT ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 9位 WOKE UP — XG ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 10位 BIRDS OF A FEATHER — BILLIE EILISH ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す


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