TOKIO HOT 100 ランキングアーカイブ(1993年12月12日放送)

TOKIO HOT 100 1993-12-12 放送回ランキング ランキング

本ページには広告(Amazonアソシエイト・楽天アフィリエイト等)を含みます。

1993年12月12日放送の J-WAVE「TOKIO HOT 100」を振り返る回顧コラムです。当時のチャート上位曲を手がかりに、その週の音楽シーンを読み解きます。

本サイトは非公式のファンサイトです。チャートデータの出典:J-WAVE「TOKIO HOT 100」(1993年12月12日放送回)。

この週の音楽シーン

1993年12月12日放送の「TOKIO HOT 100」を振り返ると、栄えある1位に輝いていたのはインコグニート(INCOGNITO)の「GIVIN’ IT UP」だった。ジャイルス・ピーターソンが提唱した「アシッド・ジャズ」というムーブメントの中心的存在として、インコグニートはこの時期のロンドン発のグルーヴを東京のリスナーに届けていたバンドである。ジャン=ポール・”ブラッキー”・モーニックを中心とするこのグループは、70年代ソウルやジャズ・ファンクへのリスペクトを現代的な感覚で再構築し、生演奏ならではの温かみと都会的な洗練を両立させたサウンドで多くのリスナーを魅了した。1993年という年は、ヒップホップやニュージャックスウィングが全盛を迎える一方で、こうした生バンドによるグルーヴ・ミュージックが再評価され、クラブシーンとラジオの両方で支持を広げていた時代でもあった。「TOKIO HOT 100」がこの曲を1位に据えたことは、当時の東京のリスナーが持っていた耳の確かさ、そして海外のトレンドをいち早く捉える感度の高さを物語っている。

このときのTOP10全体を眺めると、実に多彩な音楽性が並んでいたことがわかる。フィル・コリンズが2位に入り、往年のロック/ポップスの重鎮が健在ぶりを示す一方、ティーヴィン・キャンベルのような若きR&Bシンガーも4位にランクイン。ガンズ・アンド・ローゼズの骨太なロックが5位に、ソウル・ツー・ソウルが体現したUKブラック・ミュージックの潮流が6位に、そして後に世界的なヒットとなるエイス・オブ・ベイスの「ALL THAT SHE WANTS」が7位につけているのも興味深い。北欧発のこのグループはレゲエのリズムを取り入れたポップスで、翌年以降さらに勢いを増していくことになる存在だ。

また8位には渡辺貞夫がヴァネス・トーマスをフィーチャーした楽曲でランクインしており、日本人アーティストが海外シンガーと組んで国際的な水準の作品を作り上げていたことも見逃せない。ジャズ界の巨匠でありながら常に新しい音楽的接点を探り続けた渡辺貞夫の柔軟さは、当時の東京の音楽シーンの成熟度を象徴していたと言えるだろう。ジョディ・ワトリーやリサ・スタンスフィールドといった実力派女性ヴォーカリストたちの楽曲がしっかりと上位に食い込んでいる点も、この時代のブラック・コンテンポラリーやソウルフルなポップスへの信頼の厚さを感じさせる。

こうして振り返ると、1993年末のこの週のチャートは、ロック、R&B、アシッド・ジャズ、そして日本人アーティストの国際的な取り組みまでが渾然一体となった、実に豊かな音楽的風景を描き出していたことがわかる。インコグニートの1位獲得は単なる一曲のヒットにとどまらず、ジャンルを越境しながら「本物のグルーヴ」を求めていた当時のリスナーの嗜好そのものを映し出していたのではないだろうか。年の瀬に差し掛かるこの時期、都会の夜にふさわしいサウンドとして、こうした洗練されたグルーヴ・ミュージックが多くの人々の耳を捉えていたことを、このチャートは静かに、しかし雄弁に伝えてくれている。

🎧 この曲を聴くなら[PR]

1993年12月12日付 TOP10(出典:J-WAVE TOKIO HOT 100)

いい音で聴くなら[PR]

次の週(1993年12月19日) »

あわせて読みたい

コメント

タイトルとURLをコピーしました