1992年9月27日放送の J-WAVE「TOKIO HOT 100」を振り返る回顧コラムです。当時のチャート上位曲を手がかりに、その週の音楽シーンを読み解きます。
本サイトは非公式のファンサイトです。チャートデータの出典:J-WAVE「TOKIO HOT 100」(1992年9月27日放送回)。
この週の音楽シーン
1992年9年27日放送分の「TOKIO HOT 100」を振り返ると、この週の首位はボビー・ブラウンの「HUMPIN’ AROUND」だった。80年代末から続くニュージャックスウィング的な躍動感を残しつつ、ボーカリストとしての色気とアーバンな空気感を前面に出したこの曲は、当時のブラック・コンテンポラリー〜R&Bシーンがダンスビートからより洗練された歌もの志向へと軸足を移していく過渡期を象徴する一曲だったと言える。ボビー・ブラウンといえば90年代のR&B/ポップ・シーンにおいて、ソロアーティストとしても、後にホイットニー・ヒューストンのパートナーとしても大きな話題を集めた存在であり、この時期の首位獲得は彼のキャリアの中でも印象深い瞬間のひとつだ。
2位に食い込んだボーイズIIメンの「END OF THE ROAD」も見逃せない。アカペラの美しいハーモニーとゴスペル譲りの歌唱力で一世を風靡した彼らのこの曲は、当時のUSチャートでも記録的なロングヒットとなったナンバーであり、90年代前半のR&Bバラードの金字塔として今も語り継がれている。ボビー・ブラウンの都会的でセクシーなグルーヴと、ボーイズIIメンの叙情的なハーモニー——このふたつが上位を占めていたことからも、当時のブラック・ミュージックが持っていた多様な表現の幅がうかがえる。
一方、3位にはエリック・クラプトンの「LAYLA」がランクインしている。もともとは70年代初頭にデレク・アンド・ザ・ドミノスとして発表された楽曲だが、この時期はMTVアンプラグドの企画から生まれたアコースティック・アレンジ版が大きな注目を集めていた時代だ。往年の名曲がまったく新しい衣をまとって再びチャートに帰ってくるという現象は、90年代初頭のロック・シーンにおけるひとつの潮流であり、ベテランアーティストの底力を再認識させる出来事でもあった。
4位のロクセットは、スウェーデン出身ながら英語詞のポップ・ロックで世界的な支持を獲得したデュオで、「HOW DO YOU DO」にもその軽やかで爽快なメロディセンスが息づいている。5位のザ・ジャズマスターズ、6位のオーパスIII、7位のベイビーフェイス feat.トニ・ブラクストンといった顔ぶれからは、当時のTOKIO HOT 100がロック、フュージョン系のインストゥルメンタル、ダンス・ポップ、R&Bバラードと、実にジャンル横断的なセレクトを行っていたことが伝わってくる。とりわけベイビーフェイスは作曲家・プロデューサーとしても90年代のR&Bシーンを裏側から支えた立役者であり、トニ・ブラクストンとの共演はその後の彼女のブレイクを予感させるものだった。
8位のパティ・スミス、そして9位にはこの年にデビューを飾ったばかりのTLCが名を連ねている。「BABY-BABY-BABY」はグループの初期を象徴するナンバーで、後に世界的なガールズグループへと成長していく彼女たちのフレッシュな第一歩をこの週のチャートから垣間見ることができる。10位のINXSは、オーストラリア発のロックバンドとして80年代から国際的な人気を誇っており、「HEAVEN SENT」にもその独特のグルーヴ感とロックンロール的な躍動が表れている。
こうして並べてみると、1992年秋のこの週は、R&Bの新旧世代交代、ロックの再解釈、そして北欧やオーストラリアからのポップ・ロックまで、実に多国籍かつ多ジャンルな音楽が同じ土俵で鳴っていたことがわかる。首位のボビー・ブラウンを起点に、当時のラジオが映し出していた音楽シーンの豊かさと過渡期らしいエネルギーを、あらためて感じさせてくれるチャートである。
1992年9月27日付 TOP10(出典:J-WAVE TOKIO HOT 100)
- 1位 HUMPIN’ AROUND — BOBBY BROWN ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 2位 END OF THE ROAD — BOYZ Ⅱ MEN ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 3位 LAYLA — ERIC CLAPTON ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 4位 HOW DO YOU DO — ROXETTE ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 5位 BLUE DAYS — THE JAZZMASTERS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 6位 IT’S FINE DAY — OPUS III ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 7位 GIVE U MY HEART — BABYFACE FEAT. TONI BRAXTON ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 8位 SOMETHING LOVE JUST AIN’T ENOUGH — PATTY SMYTH ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 9位 BABY-BABY-BAY — TLC ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 10位 HEAVEN SENT — INXS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す


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