2024年5月12日放送の J-WAVE「TOKIO HOT 100」を振り返る回顧コラムです。当時のチャート上位曲を手がかりに、その週の音楽シーンを読み解きます。
本サイトは非公式のファンサイトです。チャートデータの出典:J-WAVE「TOKIO HOT 100」(2024年5月12日放送回)。
この週の音楽シーン
2024年5月12日放送の「TOKIO HOT 100」で1位に輝いたのは、米津玄師の「さよーならまたいつか!」だった。この曲はNHK連続テレビ小説「ブギウギ」の主題歌として書き下ろされ、昭和の芸能史を彩ったブギの女王をモデルにしたドラマの世界観を、令和の米津玄師らしい言葉選びとメロディで包み込んだ一曲として広く親しまれてきた。朝の連続ドラマの主題歌という枠組みでありながら、米津玄師particular独自の呼吸感や転調の妙が随所に光り、ドラマを見ていないリスナーにも単体の楽曲として深く刺さる仕上がりになっている点が、長く支持を集めた理由のひとつだろう。
興味深いのは、同じ週の5位に小沢健二とスチャダラパーの「ぶぎ・ばく・べいびー」がランクインしていたことだ。「ブギウギ」つながりというわけではないだろうが、90年代日本語ラップ・ポップスの重要人物たちがタッグを組んだ楽曲と、令和を代表するソングライターの楽曲が同じチャートの中でリスナーの耳に届いていたという事実は、世代を超えて日本語ポップスの豊かな蓄積が並走している様子を映し出していて興味深い。
2位には水曜日のカンパネラの「四天王」がつけている。コムアイ脱退後の体制でも独自の言葉遊びと不穏なポップさを貫くグループの姿勢は、この時期のJ-POPシーンにおいて異彩を放っていた。3位のILLITは2024年にデビューしたばかりのガールズグループで、「MAGNETIC」はそのフレッシュなビジュアルとフックの強いトラックで日本のリスナーにも一気に浸透した楽曲。K-POPの世代交代がリアルタイムで進んでいたことを感じさせるランクインだった。
洋楽勢も充実のラインナップだ。4位のテイラー・スウィフトはポスト・マローンをフィーチャーした「Fortnight」で、アルバム「The Tortured Poets Department」からの一曲。内省的な歌詞世界とアリーナ規模のサウンドスケープを両立させる彼女の作家性が凝縮されていた。7位のデュア・リパ「Illusion」はアルバム「Radical Optimism」収録曲で、ダンスフロア仕様のグルーヴに軽やかなヴォーカルを乗せる持ち味が存分に発揮されている。10位のビヨンセ「Texas Hold ‘Em」は、アルバム「Cowboy Carter」からのカントリー要素を大胆に取り入れた一曲で、ジャンルの境界を軽々と越えていくビヨンセの音楽的野心が話題を呼んだ楽曲だった。8位のカサビアンは、イギリスのロックシーンの底力を伝える存在としてこの週も名を連ねている。
国内勢では6位にBE:FIRSTの「MASTERPLAN」、9位にaikoの「相思相愛」がランクイン。デビュー当初からダンスとボーカルの両輪で支持を広げてきたBE:FIRSTと、長年にわたり独自の恋愛観をポップスに昇華し続けるaikoが並ぶあたりにも、このチャートの懐の深さが表れている。
ジャンルも世代も国境も軽々と横断するこの週のTOP10は、まさに2024年春という時代の空気を鮮やかに切り取ったスナップショットだったと言えるだろう。米津玄師という現代日本を代表するアーティストの楽曲が頂点に立ちながら、その周囲を新旧の日本語ポップスと最先端の洋楽・K-POPが取り囲む構図は、当時のリスナーがいかに多様な音楽を同時に聴き分けていたかを物語っている。
2024年5月12日付 TOP10(出典:J-WAVE TOKIO HOT 100)
- 1位 さよーならまたいつか! — 米津 玄師 ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 2位 四天王 — 水曜日のカンパネラ ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 3位 MAGNETIC — ILLIT ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 4位 FORTNIGHT — TAYLOR SWIFT FEAT. POST MALONE ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 5位 ぶぎ・ばく・べいびー — 小沢健二とスチャダラパー ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 6位 MASTERPLAN — BE:FIRST ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 7位 ILLUSION — DUA LIPA ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 8位 COMING BACK TO ME GOOD — KASABIAN ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 9位 相思相愛 — AIKO ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 10位 TEXAS HOLD ‘EM — BEYONCE ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す


コメント