2015年7月26日放送の J-WAVE「TOKIO HOT 100」を振り返る回顧コラムです。当時のチャート上位曲を手がかりに、その週の音楽シーンを読み解きます。
本サイトは非公式のファンサイトです。チャートデータの出典:J-WAVE「TOKIO HOT 100」(2015年7月26日放送回)。
この週の音楽シーン
2015年7月26日の「TOKIO HOT 100」で首位に輝いたのは、THE CHEMICAL BROTHERSの「GO」だった。90年代のビッグ・ビート・ムーヴメントを牽引したトム・ロウランズとエド・シモンズによるこの英国デュオが、2015年になってなお第一線でチャートの頂点に立つという事実そのものが、彼らの音楽性の普遍性を物語っている。「GO」はQ-Tipをヴォーカルに迎えたトラックで、ヒップホップ的なフロウとケミカル・ブラザーズ特有の分厚いシンセ、うねるビートが融合した一曲だ。ダンスミュージックとヒップホップの境界を軽々と越えていくその作りは、彼らが長年培ってきた「踊れる知性」とでも呼ぶべきスタイルの延長線上にある。 この週のTOP10を眺めると、洋楽と邦楽、さらにはジャンルを問わない多様さが際立つ。2位にはJUJUの「PLAYBACK」がつけ、日本のR&B・ポップスシーンの成熟した歌唱表現が存在感を示した。3位には当時まだ新鮮な存在感を放っていたSUCHMOSの「YMM」がランクイン。横浜発のこのバンドは、ジャンルを軽やかに横断するグルーヴ感で、後に日本の音楽シーンに大きな足跡を残していくことになるが、この時点ではまさにその萌芽期にあったと言える。 洋楽勢では、OWL CITYがALOE BLACCを迎えた「VERGE」(4位)、AFROJACKがMIKE TAYLORをフィーチャーした「SUMMERTHING!」(5位)など、エレクトロ・ダンス系のクロスオーバーソングが並ぶ。アイルランドのロックンロールバンド、THE STRYPESの「GET INTO IT」が6位に入っているのも興味深い。若手ながら古典的なブリティッシュ・ロックのエッセンスを体現する彼らの存在は、当時のロックシーンにおける「原点回帰」的な潮流を象徴していた。 7位のPHARRELL WILLIAMS「FREEDOM」は、「Happy」の世界的大ヒットを経た後の彼が放った一曲で、ポジティブなメッセージとファンク由来のグルーヴを引き継いだナンバーだった。8位にはキュウソネコカミの「MEGA SHAKE IT!」がランクイン。日本のオルタナ・ロックシーンにおいて、パンク的な疾走感とユーモアを兼ね備えた彼らの音楽は、この時期の邦ロックの熱量を体現するものだった。 9位のMUSEによる「MERCY」は、アルバム『Drones』からの一曲。エレクトロニックな要素とスタジアムロック的なスケール感を融合させた彼ららしいサウンドで、政治的・社会的なテーマ性を音楽に込める姿勢は当時から一貫していた。そして10位には椎名林檎の「長く短い祭」がランクイン。東京オリンピックを見据えた時代の空気感の中で、和のモチーフとロック的な過激さを融合させた彼女の作家性が改めて発揮された楽曲であり、邦楽シーンにおける個性派アーティストの存在感を示すものだった。 こうして振り返ると、この週のチャートはエレクトロニカ、ヒップホップ、ロック、J-POP、R&Bと、実に多彩なジャンルが並列していたことがわかる。THE CHEMICAL BROTHERSの「GO」が体現していた「ジャンルを越境する自由さ」は、まさにこの週全体を貫くキーワードだったのかもしれない。2015年という年は、ストリーミングサービスが徐々に普及し始め、音楽の聴かれ方そのものが変化しつつあった時期でもある。そうした過渡期にあって、ラジオのチャート番組が拾い上げた10曲の多様性は、当時のリスナーの耳が求めていたものを鮮やかに映し出していたと言えるだろう。
2015年7月26日付 TOP10(出典:J-WAVE TOKIO HOT 100)
- 1位 GO — THE CHEMICAL BROTHERS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 2位 PLAYBACK — JUJU ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 3位 YMM — SUCHMOS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 4位 VERGE — OWL CITY FEAT. ALOE BLACC ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 5位 SUMMERTHING! — AFROJACK FEAT. MIKE TAYLOR ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 6位 GET INTO IT — THE STRYPES ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 7位 FREEDOM — PHARRELL WILLIAMS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 8位 MEGA SHAKE IT! — キュウソネコカミ ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 9位 MERCY — MUSE ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 10位 長く短い祭 — 椎名 林檎 ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す


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