TOKIO HOT 100 ランキングアーカイブ(2023年5月14日放送)

TOKIO HOT 100 2023-05-14 放送回ランキング ランキング

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2023年5月14日放送の J-WAVE「TOKIO HOT 100」を振り返る回顧コラムです。当時のチャート上位曲を手がかりに、その週の音楽シーンを読み解きます。

本サイトは非公式のファンサイトです。チャートデータの出典:J-WAVE「TOKIO HOT 100」(2023年5月14日放送回)。

この週の音楽シーン

2023年5月14日放送の「TOKIO HOT 100」で首位に立ったのは、SPITZの「美しい鰭」だった。デビューから30年以上のキャリアを持つバンドが、この週のトップに立ったという事実そのものが興味深い。周囲を固めるのはYOASOBIやBE:FIRST、IRIといった同時代の主役たち、そしてThundercat & Tame ImpalaやPost Maloneといった海外アーティストの楽曲であり、その中にSPITZが並ぶという構図は、世代やジャンルを超えた聴取のあり方を象徴していたように思える。

「美しい鰭」というタイトルからは、草野マサムネ特有の言葉選びが伝わってくる。直接的な言葉を避け、比喩や情景描写を通して感情の輪郭を浮かび上がらせる作風は、SPITZが長年貫いてきた表現の核だ。派手な音数やビートの強さで押し切るのではなく、メロディの流れと言葉の質感で聴かせる楽曲が、最新のヒットチャートの中で存在感を放っていたことは、この週のTOP10を振り返るうえで見逃せないポイントだろう。

2023年前半という時期は、配信・SNS経由でのヒットの作られ方がすっかり定着し、TikTokでの話題化やショート動画での拡散が曲のブレイクに直結する状況が当たり前になっていた。その一方で、こうした潮流とは距離を置くように活動してきたベテランバンドの楽曲が支持を集めるのは、リスナーの側に「じっくり聴かせる音楽」への渇望が根強くあったことの表れとも言える。2位にはIRIの「SEASON」、3位にはYOASOBIの「アイドル」がランクインしており、後者は同年のアニメ主題歌として国内外で大きな話題を呼んだ楽曲だ。世界的な広がりを見せる曲と、日本語表現に深く根ざした曲が同じチャートの上位に共存している点に、当時のリスナー層の幅広さがうかがえる。

4位のOfficial髭男dismによる「TATTOO」、5位のBE:FIRSTによる「SMILE AGAIN」は、いずれもバンドサウンドとダンスミュージック的なアプローチという異なる方法論で邦楽シーンを牽引してきたアーティストの楽曲だ。BE:FIRSTはデビュー以来、パフォーマンス力と楽曲のクオリティで急速に支持を広げてきたグループであり、このランクインもその勢いを裏づけるものと言えるだろう。

6位にはJVKEによる「GOLDEN HOUR」の藤井風によるリミックスが入っている点も、この週ならではの面白さだ。海外アーティストの楽曲に日本人アーティストが手を加えたバージョンがヒットチャートに定着する現象は、国境を越えたコラボレーションが特別なことではなくなった時代の空気を映し出している。7位のBIALYSTOCKS、8位のThundercat & Tame Impala、9位のPost Maloneといった顔ぶれからも、ジャンルやルーツの異なる音楽が一つのチャートの中で自然に隣り合う様子が見て取れる。10位のPENTHOUSEによる「蜘蛛ノ糸」も含め、国内の新しい才能が着実に頭角を現していた時期でもあった。

こうして見渡すと、この週のTOP10は「新しさ」と「積み重ねてきたキャリア」が拮抗し、ときにねじれながら共存していた瞬間の記録だと言える。SPITZという名前がその頂点にあったことは、流行の速度が加速し続ける音楽シーンの中で、変わらない声とメロディがなお強い求心力を持ちうることを静かに証明していたのではないだろうか。

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2023年5月14日付 TOP10(出典:J-WAVE TOKIO HOT 100)

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