2024年4月7日放送の J-WAVE「TOKIO HOT 100」を振り返る回顧コラムです。当時のチャート上位曲を手がかりに、その週の音楽シーンを読み解きます。
本サイトは非公式のファンサイトです。チャートデータの出典:J-WAVE「TOKIO HOT 100」(2024年4月7日放送回)。
この週の音楽シーン
2024年4月7日放送の「TOKIO HOT 100」で1位に輝いたのは、藤井風の「満ちてゆく」だった。岡山県出身のシンガーソングライターとして、独自のトーク感覚とゴスペル、R&B、日本の歌謡曲的な旋律美を融合させたサウンドで支持を広げてきた藤井風にとって、この曲もまた、力みのない歌声としなやかなグルーヴが同居する一曲だ。派手な仕掛けに頼らず、じわりと沁みるようなメロディとアレンジで聴き手を包み込む姿勢は、デビュー当初から一貫しており、「満ちてゆく」というタイトルそのものが、彼の音楽が持つ穏やかな充足感を象徴しているようにも感じられる。2024年春という時期は、コロナ禍を経て日常が戻りつつある一方で、社会全体がまだ少し立ち止まって呼吸を整えているような空気があった。そんな中で、声高に何かを主張するのではなく、静かに心を満たしていくような楽曲が支持を集めたのは、時代の気分と無縁ではないだろう。
この週のTOP10を見渡すと、洋楽と邦楽が自然に混ざり合い、ひとつのリストの中で共存している様子がうかがえる。2位にはジェイコブ・コリアーがaespaとクリス・マーティンを迎えた「OVER YOU」がランクイン。ジャンルやシーンの垣根を軽々と越えるコラボレーションは、K-POPと欧米ロック/ポップスの融合が当たり前になった2020年代半ばの音楽シーンを象徴する存在だ。3位のHANA HOPE、4位のヴァンパイア・ウィークエンドは、インディー由来の感性が主流のチャートにも自然に食い込んでくる現代らしい並びといえる。ヴァンパイア・ウィークエンドは2000年代後半からニューヨークのインディーロックシーンを牽引してきたバンドで、知的で軽やかなアンサンブルは長年変わらぬ魅力を放っている。
邦楽勢では、5位に竹内アンナの「最幸のふたり」、7位にAJICOの「ラヴの元型」がランクイン。竹内アンナは伸びやかなボーカルとポップなセンスで幅広い層に届く楽曲を作り続けているアーティストであり、AJICOは90年代からのキャリアを持つメンバーによるユニットとして、時代を超えて説得力のあるロックサウンドを鳴らしている点が興味深い。洋楽勢では、ファレル・ウィリアムスとマイリー・サイラスによる「DOCTOR (WORK IT OUT)」、ジャスティン・ティンバーレイクの「NO ANGELS」、そしてビヨンセの「TEXAS HOLD ‘EM」が並ぶ。特にビヨンセの楽曲は、カントリーの要素を大胆に取り入れたことで大きな話題を呼んだ一曲であり、ジャンルの越境という点で、この週のチャート全体に流れるテーマともリンクしている。10位のシャキーラとカーディ・Bによる「PUNTERIA」も、ラテン音楽が世界的なポップシーンにしっかりと根を張っていることを示す存在だ。
こうして俯瞰すると、2024年4月のこの週は、静かな充足を歌う藤井風の楽曲を頂点に、ジャンル横断的なコラボレーション、インディーロックの浸透、そしてラテンやカントリーの越境的なヒットが同居する、実に多彩な一週間だったことがわかる。ひとつの色に染まらず、多様な音楽が並列して鳴り響いていたこの瞬間は、当時のポップミュージックが持っていた自由さと成熟を、今振り返っても鮮やかに伝えてくれる。
2024年4月7日付 TOP10(出典:J-WAVE TOKIO HOT 100)
- 1位 満ちてゆく — 藤井 風 ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 2位 OVER YOU — JACOB COLLIER FEAT. AESPA & CHRIS MARTIN ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 3位 RAIN OR SHINE — HANA HOPE ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 4位 CLASSICAL — VAMPIRE WEEKEND ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 5位 最幸のふたり — 竹内 アンナ ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 6位 DOCTOR (WORK IT OUT) — PHARRELL WILLIAMS × MILEY CYRUS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 7位 ラヴの元型 — AJICO ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 8位 NO ANGELS — JUSTIN TIMBERLAKE ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 9位 TEXAS HOLD ‘EM — BEYONCE ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 10位 PUNTERIA — SHAKIRA, CARDI B ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す


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