2020年1月5日放送の J-WAVE「TOKIO HOT 100」を振り返る回顧コラムです。当時のチャート上位曲を手がかりに、その週の音楽シーンを読み解きます。
本サイトは非公式のファンサイトです。チャートデータの出典:J-WAVE「TOKIO HOT 100」(2020年1月5日放送回)。
この週の音楽シーン
2020年最初の一週間、「TOKIO HOT 100」の頂点に立ったのはザ・ウィークエンドの「Blinding Lights」だった。令和という元号にもすっかり馴染み、平成から令和への切り替わりの余韻がまだどこかに残っていたこの時期、洋楽シーンでは80年代への回帰的な感覚が静かに広がっていた。シンセサイザーが鳴らす煌びやかなアルペジオ、ドライブ感のあるビート、ネオンサインを思わせるようなプロダクション――「Blinding Lights」はまさにその象徴だった。80年代のシンセポップやニューウェイヴを現代的な解像度で再構築し、夜の高速道路を走り抜けるような疾走感を作り出した一曲は、当時のR&Bやヒップホップが主流だった空気の中で、あえてレトロなダンスミュージックへ振り切ったことで逆に新鮮に響いた。ここから数年、彼のこの路線はポップシーン全体に大きな影響を与えていくことになるが、その入り口に立っていたのがまさにこの時期だったと言える。
2位にはFRIDAY NIGHT PLANSの「HONDA」。国内シーンでもR&Bやシティポップ的な質感を軸にした音楽が若い世代のリスナーに強く支持され始めていた時期で、彼らのようなユニットの存在感は、洋楽と邦楽の境界が緩やかに溶け合っていく当時のムードをよく体現していた。3位の小袋成彬「NEW KIDS」も同様に、内省的でありながら洗練されたサウンドプロダクションを持つ楽曲で、日本語ポップスが持つ叙情性と、海外のオルタナR&Bやネオソウルの感覚を橋渡しするような存在だった。
邦楽ロック・ポップスの側では、いきものがかり「WE DO」、KING GNU「TEENAGER FOREVER」、Official髭男dism「Pretender」が並ぶ。ちょうどこの前後、Official髭男dismは「Pretender」の大ヒットによって一気に全国区の知名度を獲得し、平成末から令和初頭にかけての邦楽シーンを象徴するバンドの一組になっていった。King Gnuもまた、ジャンルを軽々と越境するサウンドメイクで音楽好きの間で話題を集めていた時期であり、両バンドがチャートに同居していること自体が、この時代のロックバンドの多様な在り方を物語っている。いきものがかりの「WE DO」は、活動を重ねてきたバンドならではの安定感のあるメロディセンスが光る楽曲だ。
7位のIRI「24-25」は、国内のR&B/ソウルシーンの成熟を感じさせるナンバーで、彼女のクールでありながら情感のこもった歌声は、当時のシティポップ再評価の流れとも呼応していた。8位のコールドプレイ「Orphans」は、バンドが持つ普遍的なスタジアムロックのスケール感を保ちながら、より祝祭的でカラフルなサウンドに進化していたことを感じさせる一曲。9位のトーンズ・アンド・アイ「Dance Monkey」は、この前年から世界中で驚異的なロングヒットを記録していた楽曲で、インディペンデントな出自から世界的ヒットへと駆け上がった典型的な事例として、当時の音楽シーンにおけるストリーミングとSNSの力を象徴する存在だった。10位のネブラ feat. ザ・グレート・エスケープ「A Little Less Conversation」は、往年のスタンダードを現代的なダンスビートで蘇らせた一曲で、こちらも80年代的、あるいはそれ以前の音楽遺産を今の感覚で再解釈する動きの一端を担っていた。
洋楽・邦楽、ロック・R&B・ダンスミュージックが入り混じったこの週のTOP10は、ジャンルの垣根が薄れつつあった2020年代の幕開けの空気を色濃く映し出している。中でも「Blinding Lights」が体現した80年代リバイバルの美学は、この後の数年にわたるポップミュージックの大きな潮流を先取りするものであり、この一週間のチャートは、まさに新しい10年の入り口を静かに告げていたと言えるだろう。
2020年1月5日付 TOP10(出典:J-WAVE TOKIO HOT 100)
- 1位 BLINDING LIGHTS — THE WEEKND ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 2位 HONDA — FRIDAY NIGHT PLANS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 3位 NEW KIDS — 小袋 成彬 ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 4位 WE DO — いきものがかり ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 5位 TEENAGER FOREVER — KING GNU ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 6位 PRETENDER — OFFICIAL髭男DISM ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 7位 24-25 — IRI ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 8位 ORPHANS — COLDPLAY ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 9位 DANCE MONKEY — TONES AND I ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 10位 A LITTLE LESS COMVERSATION — NEBBRA FEAT. THE GREAT ESCAPE ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す


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