2010年4月18日放送の J-WAVE「TOKIO HOT 100」を振り返る回顧コラムです。当時のチャート上位曲を手がかりに、その週の音楽シーンを読み解きます。
本サイトは非公式のファンサイトです。チャートデータの出典:J-WAVE「TOKIO HOT 100」(2010年4月18日放送回)。
この週の音楽シーン
2010年4月、桜が散り始めた頃の一週間を切り取ると、この年のポップミュージックがどれほど豊かな振れ幅を持っていたかがよくわかる。J-WAVEの「TOKIO HOT 100」は洋楽と邦楽を分け隔てなく同じ土俵に並べるチャートとして知られていたが、この回のトップ10もまさにその縮図だ。中心に据えたいのは1位に輝いたaikoの「BEAT」である。
aikoは2000年代を通じて独自の言葉選びとメロディセンスで固定ファンを増やし続けてきたシンガーソングライターだが、2010年前後の彼女の作品には、初期のフォーキーな肌触りから一歩踏み出し、バンドサウンドの躍動感を前面に出す傾向が見られた。「BEAT」というタイトルが示す通り、リズムそのものを主役に据えた作りは、恋愛の機微を歌う従来のaiko像に、より身体的なグルーヴを加えたものとして響く。ラジオのヘビーローテーションで自然と耳に馴染んでいく感覚は、当時のFM局が担っていた「街のBGM」としての役割を象徴していたようにも思う。
2位のASIAN KUNG-FU GENERATION「ソラニン」は、浅野いにおの人気コミックを原作とした映画の主題歌として広く知られた楽曲で、邦楽ロックが青春群像劇の情感を担う存在として確立していた時期を物語る。3位のUsher feat. will.i.amによる「OMG」は、当時のUSチャートでも大きな存在感を放っていたダンスポップで、will.i.amがプロデューサーとしてもヒットメーカー化していく流れを感じさせる一曲だ。この二曲が隣り合っている並びだけでも、国内ロックと海外エレクトロ・ポップが等価に語られていた当時のチャートの懐の深さがうかがえる。
4位のJUJU「桜雨」は、まさにこの季節にふさわしいバラードで、ドラマ主題歌としても親しまれた楽曲。JUJUの伸びやかで色気のある歌声が、春の切なさを丁寧にすくい取っている。5位のGIOVANCA「DROP IT」は、洗練されたシティポップ/ソウル寄りのアプローチで注目を集めていたアーティストの一人で、当時のJ-WAVEが好んで紹介していた「大人のための洋楽的邦楽」の系譜に位置づけられる。6位のYUKI「朝が来る」は、JUDY AND MARY解散後もソロで独自のポップワールドを展開していた彼女らしい、透明感のあるサウンドプロダクションが光る。
7位のJónsiは、アイスランドのバンドSigur Rósのフロントマンとしての活動で知られ、ソロ作「Go Do」はその幻想的な音世界をよりポップに昇華させたもの。8位のAI feat. 安室奈美恵「FAKE」は、日本のR&B/ヒップホップシーンを牽引してきた二人の共演として話題を呼んだ楽曲で、当時のJ-POPにおけるボーカリスト同士のコラボレーションの豪華さを物語る。9位のJASMINE、そして10位のKesha「Tik Tok」は、いずれもクラブミュージックの影響を色濃く受けたダンスチューンで、特に「Tik Tok」は世界的にエレクトロポップの潮流を決定づけた楽曲として、その後の音楽シーンにも大きな影響を残すことになる。
こうして並べてみると、この週のトップ10は国内のシンガーソングライター、バンド、R&B、そして海外のダンスポップやオルタナティブが渾然一体となった、まさに2010年という時代の音楽的な多様性をそのまま封じ込めたような顔ぶれだった。その頂点にaikoの「BEAT」があったという事実は、多国籍・多ジャンルの音が行き交う中でも、日本のリスナーが親しみやすいメロディとリズムの心地よさを何より求めていたことを静かに物語っているのではないだろうか。
2010年4月18日付 TOP10(出典:J-WAVE TOKIO HOT 100)
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- 2位 ソラニン — ASIAN KUNG-FU GENERATION ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 3位 OMG — USHER FEAT. WILL.I.AM ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 4位 桜雨 — JUJU ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 5位 DROP IT — GIOVANCA ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 6位 朝が来る ~TUNE IN TO A NEW WORLD VER.~ — YUKI ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 7位 GO DO — JONSI ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 8位 FAKE — AI FEAT. 安室 奈美恵 ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 9位 JEALOUS — JASMINE ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 10位 TIK TOK — KESHA ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す


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