1990年10月14日放送の J-WAVE「TOKIO HOT 100」を振り返る回顧コラムです。当時のチャート上位曲を手がかりに、その週の音楽シーンを読み解きます。
本サイトは非公式のファンサイトです。チャートデータの出典:J-WAVE「TOKIO HOT 100」(1990年10月14日放送回)。
この週の音楽シーン
1990年10月14日放送の「TOKIO HOT 100」で1位に輝いたのは、ペブルスの「GIVING YOU THE BENEFIT」でした。ペブルスはR&Bシンガーとしての実力に加え、プロデューサーのL.A.リードやベイビーフェイスといった当時最先端のクリエイター陣とのタッグでも注目された存在で、この曲もそうしたニュージャック・スウィング以降の洗練されたグルーヴを感じさせるナンバーです。80年代後半から90年代にかけては、打ち込みのビートと生演奏的なホーンやコーラスが融合したサウンドがブラックミュージックの主流となり、ペブルスの歌声はそのしなやかなビート感の中で存在感を放っていました。都会的で少し切なさを含んだメロディは、当時のFM東京圏のラジオリスナーにも心地よく響いたのではないかと思います。 TOP10全体を眺めると、1990年という年がいかに多様なサウンドの過渡期だったかがよくわかります。2位にはジョージ・マイケルの「PRAYING FOR TIME」。前作アルバムでのスター性の強調から一転し、内省的で重厚なメッセージ性を持つこの曲は、80年代的な華やかさから90年代的な成熟へと向かうポップスの転換点を象徴していました。4位のマライア・キャリーは、この年にデビューを果たしたばかりの新星で、「LOVE TAKES TIME」はまさにその圧倒的な歌唱力が世界中で認知されていく最中の一曲。90年代を代表するディーヴァの誕生を、リアルタイムで捉えていた貴重な瞬間だったといえるでしょう。 一方で6位のジャネット・ジャクソンや7位のパティ・オースティンは、80年代から続くブラックミュージックの系譜を感じさせる存在感を示し、5位のダリル・ホール&ジョン・オーツはAOR/ポップスのベテランとして安定した支持を集めていたことがうかがえます。8位のINXSはオーストラリア出身のロックバンドとして世界的なブレイクを果たした後の時期で、ロックサイドからのヒットとして異彩を放っていました。9位のブラック・ボックスはイタロ・ハウスの代表格として、当時急速に広がりつつあったハウスミュージックのムーブメントを象徴する存在。ダンスフロアから火がついたサウンドがラジオチャートにも顔を出すようになったのは、この時期の面白い特徴です。 3位のシルジェはノルウェー出身のシンガーで、北欧発のポップスがヨーロッパを越えて紹介される、当時のTOKIO HOT 100らしい国際的な選曲の広がりを感じさせます。10位のネルソンはツインボーカルのメロディアスロックとして、AOR的な洗練さとロックの熱さを併せ持ったサウンドで支持を得ていました。 こうして振り返ると、この週のチャートはR&B、ポップス、ロック、ハウス、北欧ポップスと、実にジャンル横断的な布陣。バブル期の日本において、洋楽が単なる輸入文化ではなく、リスナーの耳を通して同時代的に楽しまれていたことがよくわかります。ペブルスの1位は、そうした多様性の中でも、洗練されたグルーヴと歌の説得力が支持を集めた証と言えるでしょう。
1990年10月14日付 TOP10(出典:J-WAVE TOKIO HOT 100)
- 1位 GIVING YOU THE BENEFIT — PEBBLES ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 2位 PRAYING FOR TIME — GEORGE MICHAEL ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 3位 TELL ME WHERE YOU’RE GOING — SILJE ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 4位 LOVE TAKES TIME — MARIAH CAREY ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 5位 SO CLOSE — DARYL HALL AND JOHN OATES ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 6位 BLACK CAT — JANET JACKSON ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 7位 TOGETHER — PATTI AUSTIN ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 8位 SUICIDE BLODE — INXS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 9位 EVERY BODY EVERY BODY — BLACK BOX ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 10位 LOVE AND AFFECTION — NELSON ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す


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