TOKIO HOT 100 ランキングアーカイブ(1990年6月3日放送)

TOKIO HOT 100 1990-06-03 放送回ランキング ランキング

本ページには広告(Amazonアソシエイト・楽天アフィリエイト等)を含みます。

1990年6月3日放送の J-WAVE「TOKIO HOT 100」を振り返る回顧コラムです。当時のチャート上位曲を手がかりに、その週の音楽シーンを読み解きます。

本サイトは非公式のファンサイトです。チャートデータの出典:J-WAVE「TOKIO HOT 100」(1990年6月3日放送回)。

この週の音楽シーン

1990年6月3日放送の「TOKIO HOT 100」を振り返ると、1位に輝いていたのはシネイド・オコナーの「NOTHING COMPARES 2 U」だった。プリンスが書いた曲として知られるこの一曲は、アイルランド出身の彼女が丸刈りの頭で真正面からカメラを見つめるモノクロのビデオとともに、世界中のリスナーに強烈な印象を残した。派手な演出やダンスに寄らず、表情と声だけで感情の振れ幅を伝えるあの佇まいは、当時のポップスの主流だったMTV的な華やかさとは対照的で、それゆえに異色の存在感を放っていた。シンプルな打ち込みのビートに乗せて歌われる静かな慟哭は、90年代という新しい10年の幕開けにふさわしい、これまでとは違う「個」の表現の到来を告げるものだったように思う。

この週のTOP10を眺めると、90年という時代の分厚さがよくわかる。2位にはマドンナの「VOGUE」がランクインしており、ヴォーギングというアンダーグラウンドなダンスカルチャーをメインストリームに引き上げた仕掛け人としての彼女の手腕が光る。3位のジャネット・ジャクソンの「ALRIGHT」も、当時のR&B・ダンスミュージックの洗練を象徴する存在で、ジャム&ルイスとのタッグによるサウンドプロダクションはこの時代のブラックミュージックの水準の高さを物語っている。7位のベル・ビフ・デヴォーの「POISON」も同様に、ニュージャックスウィングというジャンルが確立されつつあった時期の空気を伝えている。

一方で4位のウィルソン・フィリップスや5位のハートは、ウエストコースト的な洗練とAOR的な歌心を持つバンド・シンガーとして、ロックとポップスの境界が緩やかだったこの時代らしいラインアップだ。6位のロクセットはスウェーデン出身のデュオながら、アメリカのチャートでも大きな支持を得ており、ヨーロッパ発のポップスがグローバルに広がっていく流れを感じさせる。8位のニュー・キッズ・オン・ザ・ブロックは、後のボーイズグループブームの先駆けとして少女たちを熱狂させた存在であり、9位のMCハマーの「U CAN’T TOUCH THIS」は、この年最大級のヒットとなったヒップホップ発のポップソングとして、後にラップがチャートの中心を占めていく未来を予感させる一曲だった。10位のアフター7は、当時のスムースなR&Bバラードの良質な仕事として耳に残る。

こうして並べてみると、この週のチャートはロック、ポップ、R&B、ヒップホップ、ヨーロピアンポップスが同じ舞台の上で拮抗していた、多様性豊かな瞬間だったといえる。その頂点に、感情の生々しさをそのまま音に変換したシネイド・オコナーの歌が立っていたことは、90年代という新たな時代が「装飾ではなく核心を聴かせる音楽」への欲求とともに始まったことを象徴しているのではないだろうか。あらためて聴き返すと、あの静かな一曲が持っていた強度が、30年以上経った今でもまったく色褪せていないことに驚かされる。

🎧 この曲を聴くなら[PR]

1990年6月3日付 TOP10(出典:J-WAVE TOKIO HOT 100)

いい音で聴くなら[PR]

次の週(1990年6月10日) »

あわせて読みたい

コメント

タイトルとURLをコピーしました