TOKIO HOT 100 ランキングアーカイブ(1990年5月27日放送)

TOKIO HOT 100 1990-05-27 放送回ランキング ランキング

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1990年5月27日放送の J-WAVE「TOKIO HOT 100」を振り返る回顧コラムです。当時のチャート上位曲を手がかりに、その週の音楽シーンを読み解きます。

本サイトは非公式のファンサイトです。チャートデータの出典:J-WAVE「TOKIO HOT 100」(1990年5月27日放送回)。

この週の音楽シーン

1990年5月27日放送の「TOKIO HOT 100」を振り返ると、1位に輝いていたのはウィルソン・フィリップスの「HOLD ON」だった。ブライアン・ウィルソン(ビーチ・ボーイズ)とチャイニッチ姉妹(ジョン・フィリップス、ミシェル・フィリップスの娘たち)という、60年代西海岸ポップ/ロックの血統を受け継ぐ3人が結成したグループのデビュー曲であり、透明感のある三声ハーモニーが持ち味だった。歌い出しから徐々に感情を積み上げていく構成、サビでの伸びやかなコーラスワークは、当時のアメリカン・アダルト・コンテンポラリーの王道を行くもので、この曲がヒットチャートの上位に居座ったこと自体が、90年代という新しい10年の幕開けにふさわしい出来事だったと言える。

2位にはシネイド・オコナーの「NOTHING COMPARES 2 U」がつけている。プリンスが書いた楽曲をアイルランド出身の彼女がまったく別の解釈で歌い上げ、抑制と爆発を行き来する表現力で世界的な現象を巻き起こした一曲だ。3位のマドンナ「VOGUE」も同時期のヒットで、ハウス的なビートとヴォーギング文化を大衆音楽のフィールドに持ち込んだ点で象徴的だった。この週のTOP3を並べただけでも、アダルト・ポップの潮流、カヴァーとオリジナリティの緊張関係、ダンス・カルチャーの主流化という、90年代前半のポップ・ミュージックが向かう複数の方向性が同時に見えてくる。

4位のハート「ALL I WANNA DO IS MAKE LOVE TO YOU」、10位のロッド・スチュワート&ロナルド・アイズレー「THIS OLD HEART OF MINE」は、ロックとソウルのベテラン勢が円熟した表現でチャートに残っていたことを示している。特に後者はアイズレー・ブラザーズの60年代の名曲をロッド・スチュワートが再解釈したもので、世代を超えて楽曲が生き続ける様子がうかがえる。9位のフィル・コリンズ「DO YOU REMEMBER」も、80年代を代表するミュージシャンが90年代に入ってなお第一線で存在感を放っていたことの証だろう。

一方で5位のジャネット・ジャクソン「ALRIGHT」、7位のベル・ビヴ・デヴォウ「POISON」は、当時勢いを増していたニュージャック・スウィングやR&B/ダンスミュージックの流れを体現する存在だった。8位のジェーン・チャイルドの「DON’T WANNA FALL IN LOVE」も、シンセを効かせたエッジの効いたポップ・サウンドで異彩を放っていた。6位のロクセット「IT MUST HAVE BEEN LOVE」はスウェーデン発のポップ・デュオが世界的ヒットを飛ばした曲で、映画「プリティ・ウーマン」の劇中歌としても記憶している人が多いはずだ。

こうして並べてみると、この週のTOP10は、アメリカのアダルト・コンテンポラリー、アイルランドやスウェーデンからのポップ、ヴェテラン勢のソウル/ロック、そして台頭するダンス・ミュージックという、実に多層的な音楽地図を描き出している。1位の「HOLD ON」が持つ健やかで前向きなハーモニーは、バブル景気の余韻がまだ残る日本でリスナーに届けられた当時の空気を思い起こさせる。ジャンルも国籍も世代も異なる楽曲が同じチャートの中で拮抗していたという事実こそ、90年代が幕を開けたばかりのこの時期ならではの豊かさだったのではないだろうか。

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1990年5月27日付 TOP10(出典:J-WAVE TOKIO HOT 100)

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