2021年11月7日放送の J-WAVE「TOKIO HOT 100」を振り返る回顧コラムです。当時のチャート上位曲を手がかりに、その週の音楽シーンを読み解きます。
本サイトは非公式のファンサイトです。チャートデータの出典:J-WAVE「TOKIO HOT 100」(2021年11月7日放送回)。
この週の音楽シーン
2021年11月7日放送の「TOKIO HOT 100」を振り返ると、1位に輝いたのはアデルの「EASY ON ME」だった。この曲は、彼女にとって数年ぶりとなるアルバム『30』からの先行曲として世に送り出され、発表直後から世界中のチャートを席巻していた。ピアノの静かな旋律から始まり、徐々に感情の振れ幅を広げていくアデルらしい構成は、久しぶりの新曲を待ちわびていたリスナーの心を一気に掴んだはずだ。離婚や母としての生活といった私的な経験を経て制作されたと言われるこの楽曲は、彼女の声そのものが持つ説得力によって、言葉の意味を超えたところで聴き手に届く強度を持っていた。当時の音楽シーンは、ストリーミング主導のヒットが当たり前になり、TikTokなどのショート動画からブレイクする楽曲も増えていた時期だが、アデルのような「アルバム単位でじっくり聴かせる」タイプのアーティストが依然として大きな存在感を放っていたことは印象的だ。
TOP10全体を眺めると、この週のチャートは国内外のバランスが非常に良かったことがうかがえる。2位にはKing Gnuの「BOY」がランクインしており、井口理と常田大希という二人のソングライティングの妙が光る楽曲として、邦楽ロック・ポップスのシーンを更新し続けていたバンドの勢いを感じさせる。7位には星野源の「CUBE」も入っており、国内アーティストが海外の話題曲と同じ土俵で聴かれていたことが分かる。星野源はこの時期、音楽制作だけでなく多方面での活動が話題になっており、リスナーの関心も高まっていたタイミングだった。
洋楽勢に目を向けると、5位にはコールドプレイとBTSのコラボレーション曲「MY UNIVERSE」が入っている。この組み合わせ自体が、K-POPと欧米ロック・ポップスの垣根がますます低くなっていたことを象徴する出来事だった。BTSは既に世界的なフィジカルを持つグループとして認知されており、コールドプレイのような大御所バンドとの共作は、当時の音楽業界がジャンルや国境を越えたコラボレーションを積極的に仕掛けていた流れを体現していたと言える。6位のエド・シーランの「OVERPASS GRAFFITI」も、彼らしいメロディアスな作風で安定した支持を集めていたことがうかがえる。
また3位のオーロラ、4位のホンネ、10位のグレイシー・エイブラムスといった名前が並ぶのも、この番組らしい選曲の広さを物語っている。オーロラは幻想的でスケールの大きいサウンドを持つノルウェー出身のアーティストであり、ホンネはUKのデュオとして洗練されたR&B寄りのポップスを提示していた。グレイシー・エイブラムスはこの頃から次世代のシンガーソングライターとして注目され始めていた存在で、後の飛躍を予感させる楽曲がすでにチャート入りしていたのは興味深い。8位のSKY-HI、9位のNENASHIといった国内ヒップホップ・R&B勢の存在も、当時の日本語ラップシーンの多様化を感じさせる。
こうして振り返ると、この週のTOP10は、世界的な大物の新曲、国内バンドの充実、そして次世代アーティストの気配が同時に共存する、非常にバランスの取れたラインナップだったと言える。アデルという圧倒的な存在感を持つアーティストが1位を飾ったことは、当時のリスナーにとって特別な瞬間として記憶されているのではないだろうか。
2021年11月7日付 TOP10(出典:J-WAVE TOKIO HOT 100)
- 1位 EASY ON ME — ADELE ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 2位 BOY — KING GNU ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 3位 GIVING IN TO THE LOVE — AURORA ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 4位 BACK ON TOP — HONNE FEAT. GRIFF ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 5位 MY UNIVERSE — COLDPLAY × BTS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 6位 OVERPASS GRAFFITI — ED SHEERAN ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 7位 CUBE — 星野 源 ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 8位 ONE MORE DAY — SKY-HI FEAT. REIKO ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 9位 SCARS — NENASHI ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 10位 FEELS LIKE — GRACIE ABRAMS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す


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