TOKIO HOT 100 ランキングアーカイブ(1989年7月9日放送)

TOKIO HOT 100 1989-07-09 放送回ランキング ランキング

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1989年7月9日放送の J-WAVE「TOKIO HOT 100」を振り返る回顧コラムです。当時のチャート上位曲を手がかりに、その週の音楽シーンを読み解きます。

本サイトは非公式のファンサイトです。チャートデータの出典:J-WAVE「TOKIO HOT 100」(1989年7月9日放送回)。

この週の音楽シーン

1989年7月9日の「TOKIO HOT 100」でトップに立ったのは、PRINCEの「BATDANCE」だった。この曲はティム・バートン監督による映画『バットマン』のサウンドトラックのために書き下ろされた一曲で、映画の台詞やSEを大胆にコラージュし、ファンク、ロック、ダンスビートを目まぐるしく切り替えていく構成が最大の聴きどころだ。単なる主題歌の枠を超え、当時のPRINCEが持っていた実験精神とポップセンスを凝縮したような一曲であり、映画とのタイアップが音楽の売れ方を大きく動かしていた時代を象徴する存在でもあった。ハリウッド大作と音楽シーンが強く結びつき始めていたこの時期、映画から生まれたヒット曲がラジオの上位を賑わせるのは珍しいことではなかったが、それをここまで挑戦的な作品に仕上げてしまうところにPRINCEらしさがにじむ。

TOP10全体を見渡すと、1989年という年がいかに多様な音楽性が並走していた時期だったかがよくわかる。2位にはDOOBIE BROTHERSの「THE DOCTOR」がランクインし、70年代から活動するベテランバンドが健在ぶりを示している。3位のPAUL McCARTNEYによる「MY BRAVE FACE」は、エルヴィス・コステロとの共作で知られるアルバム制作期の楽曲で、ビートルズ世代の重鎮が新しい創作意欲を見せていた一曲だ。一方で4位のMILLI VANILLIや8位のMARTIKAは、当時勢いを増していたダンスポップ/ティーンポップの旗手であり、5位STEVIE NICKSや10位RICHARD MARXのようなAOR寄りのロックサウンドとも共存していた。

さらに注目したいのが6位のFINE YOUNG CANNIBALSと7位のNENEH CHERRYだ。前者はソウルフルな歌声とポストパンク的な質感を融合させたバンドとして、この年大きな存在感を放っていた。後者のNENEH CHERRYは、ヒップホップのビート感覚をポップフィールドに持ち込んだアーティストとして評価され、ラップとメロディを行き来する歌唱スタイルは当時としては新鮮だった。この二組の存在は、ロックやポップスの枠組みにヒップホップやクラブミュージックの感性が浸透し始めていた80年代末の空気をよく伝えている。そして9位にはMADONNAの「EXPRESS YOURSELF」。自己表現と自立をテーマにしたメッセージ性の強いこの楽曲は、単なるダンスポップに留まらないMADONNAのアーティストとしての深化を示すものだった。

こうして見ると、この週のTOP10はロックのベテラン勢、ダンスポップの新星、ヒップホップの影響を受けたクロスオーバー勢が入り混じる、まさに過渡期のポップシーンそのものだ。BATDANCEを頂点に据えたこの並びは、映画産業とポップミュージックの結びつき、そしてジャンルの垣根が溶け始めていた1989年という時代の空気を、今聴いても鮮やかに感じさせてくれる。

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1989年7月9日付 TOP10(出典:J-WAVE TOKIO HOT 100)

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