1999年12月19日放送の J-WAVE「TOKIO HOT 100」を振り返る回顧コラムです。当時のチャート上位曲を手がかりに、その週の音楽シーンを読み解きます。
本サイトは非公式のファンサイトです。チャートデータの出典:J-WAVE「TOKIO HOT 100」(1999年12月19日放送回)。
この週の音楽シーン
1999年12月19日放送の「TOKIO HOT 100」で1位に輝いたのは、BECKの「SEXX LAWS」だった。世紀末という言葉が妙にリアリティを持って響いていたあの年の年末、チャートの頂点に立ったのが、ジャンルという概念そのものをはぐらかすようなこのアーティストだったのは、いま振り返るととても象徴的に思える。フォークやヒップホップ、ファンク、ローファイなノイズまでを軽やかに接続してしまうBECKの音楽は、90年代を通してオルタナティブという言葉が拡張されていった果てに現れた、一つの解答のようなものだった。「SEXX LAWS」が持つ、ホーンセクションの効いたグルーヴと、どこか諧謔的なポップネスは、世紀末の浮遊感と妙にマッチしていたのかもしれない。
この週のTOP10を眺めると、時代の断面がよく見えてくる。2位にはCELINE DIONという、90年代を代表する圧倒的な歌唱力のポップアイコンが入り、3位にはWILL SMITHという、俳優兼ミュージシャンという新しいスターの型を作った存在が続く。さらにMARIAH CAREYやENRIQUE IGLESIASといった、90年代後半のグローバルポップを牽引した名前が並ぶ一方で、FIONA APPLEやTHIRD EYE BLINDのような、よりオルタナティブ/シンガーソングライター的な感触を持つアーティストも同じ土俵に立っている。J-WAVEのチャートらしく、メインストリームのヒットとインディペンデントな感覚を持つ音楽が、境界を溶かしながら共存していたことがよくわかる並びだ。
そんな中、5位には山崎まさよしの「Passage」が入っている。海外アーティストがずらりと並ぶTOP10の中で、日本人アーティストとして堂々と存在感を示していたことは、この番組が単なる洋楽チャートではなく、あくまで「東京のいま」を切り取ろうとする番組であったことを物語っている。ギター一本からにじみ出るような情感と、都会的な洗練さを併せ持つ山崎まさよしの音楽は、当時のJ-POPが持っていた成熟の一つの形だったと言える。
8位のDOUBLEによる「Free Your Mind」も、日本のR&Bシーンがまさに立ち上がりつつあった時期の象徴的な一曲だ。この後の日本語R&Bの潮流を思うと、この時期の存在感は決して小さくない。9位のERIC CLAPTONは、ロックの巨匠が依然として現役のヒットメイカーであり続けていたことを示す一枚でもある。
世紀末という特別な空気の中で迎えたこの週のチャートは、ポップ、ロック、R&B、そして国境を越えた才能たちが、一つのランキングの中でせめぎ合っていた時代の記録でもある。BECKの「SEXX LAWS」が1位に立っていたという事実は、当時のリスナーが、わかりやすいポップさだけでなく、実験性やユーモアを含んだ音楽性にもきちんと反応していたことの証だろう。20年以上の時を経て聴き直すと、このTOP10には、ジャンルの壁が少しずつ崩れていく予感と、新しい世紀への静かな期待が同時に刻み込まれているように感じられる。
1999年12月19日付 TOP10(出典:J-WAVE TOKIO HOT 100)
- 1位 SEXXLAWS — BECK ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 2位 THAT’S THE WAY IT IS — CELINE DION ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 3位 WILL 2 K — WILL SMITH ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 4位 NEVER LET YOU GO — THIRD EYE BLIND ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 5位 PASSAGE — 山崎 まさよし ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 6位 FAST AS YOU CAN — FIONA APPLE ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 7位 HEARTBREAKER — MARIAH CAREY ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 8位 FREE YOUR MIND — DOUBLE ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 9位 BLUE EYES BLUE — ERIC CLAPTON ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 10位 RHYTHM DIVINE — ENRIQUE IGLESIAS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す


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