2010年1月24日放送の J-WAVE「TOKIO HOT 100」を振り返る回顧コラムです。当時のチャート上位曲を手がかりに、その週の音楽シーンを読み解きます。
本サイトは非公式のファンサイトです。チャートデータの出典:J-WAVE「TOKIO HOT 100」(2010年1月24日放送回)。
この週の音楽シーン
2010年1月24日放送分の「TOKIO HOT 100」を振り返ると、堂々の1位に輝いていたのは秦基博の「アイ」だった。透明感のある高音域のヴォーカルと、削ぎ落とされたピアノやストリングスのアレンジが印象的なバラードで、当時、路上出身のシンガーソングライターとしてじわじわと支持を広げていた秦基博の存在感を象徴する一曲だったと言える。派手な仕掛けに頼らず、声そのものと言葉の丁寧さで聴かせる楽曲がチャートの頂点に立っていたことは、この時期のJ-POPリスナーが求めていたものを映し出しているようにも感じられる。
TOP10全体を眺めると、実に多彩な顔ぶれが並んでいるのもこの週の特徴だ。2位にはLOVE PSYCHEDELICOの「ABBOT KINNEY」がランクイン。ロサンゼルスの地名を冠したタイトルからも、彼らならではの洋楽的な質感とバンドサウンドの説得力が伝わってくる。さらに3位にはアリシア・キーズ、8位にはカレン・O、そして10位にはケシャと、海外の女性アーティストたちの楽曲が並んでいるのも見逃せない。特に「TIK TOK」は、当時アメリカで爆発的にヒットしていたケシャのデビュー曲で、エレクトロ・ポップが世界的に主流になりつつあった時代の空気を伝える一曲として、日本のチャートにもしっかり顔を出していたことがわかる。
邦楽勢に目を向けると、4位の「シャツを洗えば」は、くるりとユーミンという世代もキャリアも異なる二組のコラボレーションという点で異彩を放っている。ロックバンドとポップスの大御所という組み合わせ自体が話題性を持ち、日本の音楽シーンの懐の深さを感じさせるものだった。5位の東京スカパラダイスオーケストラは、ボーカリストを迎えたスタイルで人気を博していた時期であり、「流星とバラード」もその路線を汲む楽曲だ。インストゥルメンタルバンドでありながら、こうしてゲストボーカルを迎えた楽曲がヒットチャートの上位に食い込む柔軟性は、スカパラの長年のキャリアが培ってきた強みだろう。
6位のサカナクションによる「アルクアラウンド」も、この時代を語るうえで欠かせない存在だ。バンドサウンドとエレクトロニックな質感を融合させた彼らのスタイルは、この頃から次第に評価を高めていき、後の日本のオルタナティブ・ロックシーンに大きな影響を与えていくことになる。7位のYUIによる「GLORIA」、9位のBONNIE PINKによる「MORNING GLORY」は、いずれも女性シンガーソングライターとしてゼロ年代から着実にキャリアを積んできたアーティストの楽曲であり、それぞれの個性が際立つラインナップとなっている。
こうして見渡すと、2010年1月のこの週は、国内外・ジャンル・世代を問わず多様な音楽が同じチャートの中でせめぎ合っていた、実に豊かな瞬間だったと言えるだろう。秦基博の静謐な歌声が1位に輝いていたその同じ週に、ケシャのエレクトロ・ポップや、くるりとユーミンの異色コラボが共存していたという事実こそが、当時のJ-WAVEのチャート番組が映し出していた音楽シーンの奥行きを物語っている。単なる過去の記録としてではなく、あらためて当時の空気を思い起こしながら聴き直してみると、それぞれの楽曲が持つ個性がより一層際立って感じられるはずだ。
2010年1月24日付 TOP10(出典:J-WAVE TOKIO HOT 100)
- 1位 アイ — 秦 基博 ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 2位 ABBOT KINNEY — LOVE PSYCHEDELICO ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 3位 TRY SLEEPING WITH A BROKEN HEART — ALICIA KEYS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 4位 シャツを洗えば — くるりとユーミン ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 5位 流星とバラード — 東京スカパラダイスオーケストラ ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 6位 アルクアラウンド — サカナクション ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 7位 GLORIA — YUI ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 8位 ALL IS LOVE — KAREN O AND THE KIDS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 9位 MORNING GLORY — BONNIE PINK ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 10位 TIK TOK — KESHA ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す


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