2011年3月20日放送の J-WAVE「TOKIO HOT 100」を振り返る回顧コラムです。当時のチャート上位曲を手がかりに、その週の音楽シーンを読み解きます。
本サイトは非公式のファンサイトです。チャートデータの出典:J-WAVE「TOKIO HOT 100」(2011年3月20日放送回)。
この週の音楽シーン
2011年3月20日というこの週のオンエアは、日本にとって特別な時間軸の中にあった。東日本大震災の発生からまだ十日と経っていない時期であり、テレビでもラジオでも、普段通りの音楽が流れることの意味が問われていた頃だ。そんな中でTOKIO HOT 100の頂点に立ったのが、アヴリル・ラヴィーンの「WHAT THE HELL」だった。ザ・カーズの「ジャスト・ホワット・アイ・ニーデッド」からのサンプリングを大胆に取り入れたこの曲は、彼女のキャリアの中でも屈指のアッパーチューンであり、疾走感のあるギターリフと突き抜けるような歌声が、聴く者の気分を強制的に前へ進めてくれるような推進力を持っていた。難しい理屈抜きに、ただ音量を上げて走り抜けたくなる一曲がこのタイミングで1位に輝いたことは、偶然にせよ象徴的に響く。
2位にはレディー・ガガの「BORN THIS WAY」がランクイン。同名アルバムのタイトル曲であり、自己肯定と多様性の受容をテーマにしたこの楽曲は、ダンスミュージックとしての強度だけでなく、メッセージソングとしての存在感でも当時大きな話題を呼んでいた。エレクトロとチャーチオルガン風のサウンドを組み合わせた構成は、ポップスの枠を広げるガガらしい野心作だった。
邦楽勢も負けていない。3位のRADWIMPS「君と羊と青」は、バンドらしいアンサンブルの緊張感と野田洋次郎の言葉選びの鋭さが際立つナンバー。4位のEXILE「EACH OTHER’S WAY~旅の途中~」は、グループの持ち味であるスケール感のあるバラード・アンセムとしての完成度を示し、5位のSUPERFLY「SUNSHINE SUNSHINE」は、志摩遼平の伸びやかなボーカルとロックンロールなグルーヴが心地よい一曲だった。6位には星野源の「くだらないの中に」がランクイン。ソロアーティストとしての活動が本格化してきた時期であり、日常の些細な機微をすくい上げるような歌詞世界と、抜け感のあるサウンドプロダクションは、後の活躍を予感させるものだった。
7位のビーディ・アイ「THE ROLLER」も見逃せない。オアシス解散後、リアム・ギャラガーが結成した新バンドのデビューアルバムからのシングルで、シンプルながら骨太なロックンロールは、90年代UKロック世代のファンにとって懐かしさと新鮮さを同時に感じさせるものだった。8位のNIKIIE「HIDE&SEEK」、9位のRIP SLYME「センス・オブ・ワンダー」は、それぞれ女性シンガーソングライターの繊細な表現力、日本語ラップグループの円熟したグルーヴ感を伝える楽曲として存在感を放っていた。そして10位には、後に「21」で世界的なブレイクを果たすアデルの「SOMEONE LIKE YOU」がランクイン。ピアノ一本を軸にした静かな構成でありながら、感情の振れ幅を余すことなく表現するボーカルは、この時点ですでに只者ではない気配を漂わせていた。
洋楽・邦楽、ロック・ポップス・ヒップホップ・バラードと、ジャンルを問わず粒ぞろいの楽曲が並んだこの週のTOP10は、震災直後という特殊な時期にあっても、音楽が持つ普遍的な力を静かに証明していたように思える。当時のラジオから流れてきたこれらの曲を今聴き直すと、それぞれのアーティストがその後歩んだ道のりの起点や通過点として、あらためて興味深く響いてくる。
2011年3月20日付 TOP10(出典:J-WAVE TOKIO HOT 100)
- 1位 WHAT THE HELL — AVRIL LAVIGNE ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 2位 BORN THIS WAY — LADY GAGA ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 3位 君と羊と青 — RADWIMPS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 4位 EACH OTHER’S WAY~旅の途中~ — EXILE ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 5位 SUNSHINE SUNSHINE — SUPERFLY ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 6位 くだらないの中に — 星野 源 ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 7位 THE ROLLER — BEADY EYE ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 8位 HIDE&SEEK — NIKIIE ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 9位 センス・オブ・ワンダー — RIP SLYME ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 10位 SOMEONE LIKE YOU — ADELE ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す


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