2018年7月15日放送の J-WAVE「TOKIO HOT 100」を振り返る回顧コラムです。当時のチャート上位曲を手がかりに、その週の音楽シーンを読み解きます。
本サイトは非公式のファンサイトです。チャートデータの出典:J-WAVE「TOKIO HOT 100」(2018年7月15日放送回)。
この週の音楽シーン
2018年7月15日という日付を思い浮かべると、まず頭に浮かぶのはロシアで開催されていたFIFAワールドカップが幕を閉じたばかりだったという空気感だ。実際この週の10位には、大会のテーマソングとして世界中で流れていたニッキー・ジャム feat. ウィル・スミス&エラ・イストレフィの「LIVE IT UP」がランクインしており、夏の始まりと世界的なイベントの余韻がチャートの端々に滲んでいた時期だったことがうかがえる。
そんな中で1位に輝いたのが、宇多田ヒカルの「初恋」だった。同名アルバムの表題曲であり、母・藤圭子を亡くした後の日々と向き合いながら作られた作品として語られることが多い一枚だ。派手な音数に頼らず、ピアノを基調とした静謐なアレンジで進行するこの曲は、デビューから幾つもの時代を経てきたアーティストが辿り着いた、削ぎ落とした表現の美しさを体現している。喪失と再生、大人になってからの恋愛観といったテーマが、抑えたトーンの歌声とメロディの中に溶け込んでおり、聴くたびに新しい輪郭を見せてくれるような懐の深さがある。J-POPのメインストリームでありながら、決して大衆迎合的な作りをしていないところに、彼女がずっと持ち続けてきた矜持を感じ取れる。
2位のSUCHMOS「VOLT-AGE」は、シティポップ的な質感とバンドサウンドの高揚感を併せ持つ楽曲で、当時の邦楽ロックシーンの気分を象徴する存在だった。6位にはあいみょんの「マリーゴールド」がランクインしており、この曲が後に世代を超えて愛される国民的ヒットへと育っていく、その入口に立っていた時期だったことが伝わってくる。8位の平井大「SONG FOR TWO」は、爽やかなアコースティックの響きで夏の情景を描き出す一曲として、当時のカフェやドライブのBGMとして親しまれていた記憶がある人も多いだろう。
海外勢に目を向けると、3位にはデーモン・アルバーン率いるゴリラズが、レジェンドギタリストのジョージ・ベンソンを迎えた「HUMILITY」で登場。夏らしい軽やかなギターカッティングが印象的な一曲だ。4位のジャスティン・ティンバーレイク「SOULMATE」はアルバム「Man of the Woods」からの流れを汲む楽曲で、5位のドレイクはマイケル・ジャクソンの音源を用いた「DON’T MATTER TO ME」でアルバム「Scorpion」の存在感を示していた。7位のイヤーズ&イヤーズ、9位のポール・マッカートニー「COME ON TO ME」も含め、世代もジャンルも異なるアーティストたちが同じテーブルに並んでいたのがこの週のTOP10の面白さだ。
ストリーミングサービスが徐々に生活に根付き、国内外の音楽がフラットに並ぶようになっていったこの時期、リスナーの耳は自然とジャンルの境界を越えて動いていた。宇多田ヒカルの内省的な一曲を頂点に、ロック、ヒップホップ、レジェンドのポップス、そして次代を担う若手シンガーソングライターまでが同居するこのチャートは、まさに2018年の夏という時代の音楽的な体温を、静かに、しかし確かに記録していたと言えるだろう。
2018年7月15日付 TOP10(出典:J-WAVE TOKIO HOT 100)
- 1位 初恋 — 宇多田 ヒカル ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 2位 VOLT-AGE — SUCHMOS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 3位 HUMILITY — GORILLAZ FEAT. GEORGE BENSON ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 4位 SOULMATE — JUSTIN TIMBERLAKE ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 5位 DON’T MATTER TO ME — DRAKE FEAT. MICHAEL JACKSON ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 6位 マリーゴールド — あいみょん ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 7位 IF YOU’RE OVER ME — YEARS AND YEARS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 8位 SONG FOR TWO — 平井 大 ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 9位 COME ON TO ME — PAUL MCCARTNEY ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 10位 LIVE IT UP — NICKY JAM FEAT. WILL SMITH AND ERA ISTREFI ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す


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