2021年4月11日放送の J-WAVE「TOKIO HOT 100」を振り返る回顧コラムです。当時のチャート上位曲を手がかりに、その週の音楽シーンを読み解きます。
本サイトは非公式のファンサイトです。チャートデータの出典:J-WAVE「TOKIO HOT 100」(2021年4月11日放送回)。
この週の音楽シーン
2021年4月11日放送の「TOKIO HOT 100」で1位に輝いたのは、ブルーノ・マーズとアンダーソン・パークが結成したユニット、シルク・ソニックによる「Leave The Door Open」だった。同年初頭に始動を発表したばかりのこのプロジェクトは、70年代のソウルやファンクへの深いリスペクトを現代的なプロダクションで蘇らせるというコンセプトを掲げ、この曲がその第一声となった。ファルセットを駆使したブルーノのボーカル、アンダーソン・パークの粘り気のあるグルーヴ、そしてビンテージ感あふれるアレンジは、当時のポップシーンにおいて一種の「原点回帰」として受け止められ、世界中のチャートを席巻していく。パンデミック下で人と人との接触が制限されていた時期に、あえてロマンティックでフィジカルな距離の近さを歌うこの曲が支持されたのは、時代の空気への静かな反動だったのかもしれない。
このTOP10を眺めると、当時のリスナーの耳がいかに多様な方向を向いていたかがよくわかる。2位にはAimer with Vaundyによる「地球儀」がランクインしており、日本の若手シンガーソングライターとベテラン女性シンガーの共演という組み合わせ自体が、世代やジャンルを越えたコラボレーションが当たり前になっていた時代の象徴といえる。4位の宇多田ヒカル「One Last Kiss」は、長らく待たれていた劇場アニメ作品の主題歌として発表され、日本のポップミュージックとアニメーション文化の結びつきの強さを改めて示した楽曲だ。9位のにしな「Centi」も含め、邦楽勢が海外の話題曲と肩を並べて存在感を放っていた点は、このチャートの面白さのひとつだろう。
海外勢に目を向ければ、Peach Tree Rascalsやbeabadoobee、Alfie Templemanといった、当時まだキャリア初期にあった若手アーティストたちが次々と名を連ねているのも印象的だ。ベッドルームで生まれたようなローファイ/インディー・ポップの感性が、大手レーベルの看板アーティストと並んでチャートインしていたことは、ストリーミング時代ならではの風景といえる。5位のポーター・ロビンソンによる「Musician」は、エレクトロニックとオーガニックな感触を融合させた楽曲で、彼のキャリアにおいても重要な作品だった。6位のジャスティン・ビーバー「Peaches」も含め、R&B的な質感を持つ楽曲がヒットの中心にあったことは、この時期のポップスの大きな潮流を物語っている。
こうして振り返ると、2021年4月のこの週は、レトロなソウルへの憧憬と、新世代アーティストの実験精神、そして日本発のポップスが同じ土俵で鳴り響いていた、非常にバランスの取れた瞬間だったと言える。シルク・ソニックの1位獲得は単なる一過性の話題ではなく、その後のアルバム『An Evening With Silk Sonic』へとつながる大きな流れの始まりであったことを、今のリスナーは知っている。
2021年4月11日付 TOP10(出典:J-WAVE TOKIO HOT 100)
- 1位 LEAVE THE DOOR OPEN — BRUNO MARS, ANDERSON .PAAK AND SILK SONIC ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 2位 地球儀 — AIMER WITH VAUNDY ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 3位 LEAVE ME — PEACH TREE RASCALS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 4位 ONE LAST KISS — 宇多田 ヒカル ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 5位 MUSICIAN — PORTER ROBINSON ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 6位 PEACHES — JUSTIN BIEBER FEAT. DANIEL CAESAR AND GIVEON ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 7位 LAST DAY ON EARTH — BEABADOOBEE ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 8位 SLOW CLAP — GWEN STEFANI ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 9位 CENTI — にしな ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 10位 EVERYBODY’S GONNA LOVE SOMEBODY — ALFIE TEMPLEMAN ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す


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