2010年5月30日放送の J-WAVE「TOKIO HOT 100」を振り返る回顧コラムです。当時のチャート上位曲を手がかりに、その週の音楽シーンを読み解きます。
本サイトは非公式のファンサイトです。チャートデータの出典:J-WAVE「TOKIO HOT 100」(2010年5月30日放送回)。
この週の音楽シーン
2010年5月30日の「TOKIO HOT 100」で1位に輝いたのは、ジャスティン・ビーバーがルダクリスをフィーチャーした「BABY」だった。当時まだ10代前半、YouTube発の少年シンガーとして世界中のティーン層を熱狂させていた彼にとって、この曲はデビューアルバム『マイ・ワールド2.0』を象徴する一曲であり、甘さと切なさが同居するメロディーに、当時勢いを増していたラップ勢の客演を組み合わせるという、この時代らしいポップスの作法がそのまま体現されていた。ソーシャルメディアがまだ黎明期だった中で、ファンダムの熱量が可視化され始めた最初期の事例としても、この曲の存在は象徴的だったと言える。 このチャートを俯瞰すると、2010年前半という時代の空気がよく見えてくる。3位のB.o.B feat. ブルーノ・マーズ「NOTHIN’ ON YOU」は、後にソロとして一時代を築くブルーノ・マーズがまだ客演シンガーとしてシーンに登場していた頃の一曲で、彼のメロディセンスの片鱗がすでに光っていた。6位のケシャ「TIK TOK」や10位のレディー・ガガ feat. ビヨンセ「TELEPHONE」は、クラブミュージックとポップスが急接近し、電子的なサウンドとパーティー感覚が主流になりつつあった当時のダンスポップシーンを象徴する存在だ。とりわけこの年はレディー・ガガが世界的なフィーバーの真っ只中にあり、コラボレーションそのものが一つのイベントとして消費される時代の始まりを感じさせる。 7位のK’NAAN「WAVIN’ FLAG」は、この年の夏に南アフリカで開催されたサッカーワールドカップに向けて世界中で流れていたアンセムであり、スポーツと音楽が結びつく瞬間を象徴する一曲だった。国境を越えたお祭り感が、当時のポップシーンの多幸感ともリンクしていた。 一方で日本勢の存在感も大きい。2位のスガシカオ「サヨナラホームラン」は、彼らしい生活実感の滲む歌詞とグルーヴが同居する楽曲で、日本のシンガーソングライターシーンの成熟を感じさせる。5位の木村カエラ「RING A DING DONG」は、ポップでありながら実験精神も忘れない彼女らしい一曲。8位のBONNIE PINK「IS THIS LOVE?」、9位のJASMINE「DREAMIN’」も含め、洋楽と邦楽が同じテーブルに並ぶこのチャートの構成そのものが、当時のJ-WAVEらしい編成哲学を物語っている。 4位のケミカル・ブラザーズ「SWOON」は、2000年代を通じてダンスミュージックの最前線を走り続けてきたベテラン勢が、2010年代に入っても新しい音像を提示し続けていたことを示す一曲だ。 こうして並べてみると、この週のTOP10は、次の10年を作っていくアーティストたちの萌芽と、すでに一時代を築いたベテランたちの現在進行形の仕事が交差する、まさに過渡期のスナップショットだったことが分かる。ジャスティン・ビーバーというまだ見ぬ才能が世界の頂点に立ちつつあった瞬間を、日本のラジオチャートが的確に切り取っていたことは、今振り返っても興味深い記録である。
2010年5月30日付 TOP10(出典:J-WAVE TOKIO HOT 100)
- 1位 BABY — JUSTIN BIEBER FEAT. LUDACRIS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 2位 サヨナラホームラン — スガ シカオ ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 3位 NOTHIN’ ON YOU — B.O.B. FEAT. BRUNO MARS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 4位 SWOON — THE CHEMICAL BROTHERS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 5位 RING A DING DONG — 木村 カエラ ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 6位 TIK TOK — KESHA ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 7位 WAVIN’ FLAG(CELEBRATION MIX) — K’NAAN ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 8位 IS THIS LOVE? — BONNIE PINK ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 9位 DREAMIN’ — JASMINE ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 10位 TELEPHONE — LADY GAGA FEAT. BEYONCE ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す


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