2001年12月23日放送の J-WAVE「TOKIO HOT 100」を振り返る回顧コラムです。当時のチャート上位曲を手がかりに、その週の音楽シーンを読み解きます。
本サイトは非公式のファンサイトです。チャートデータの出典:J-WAVE「TOKIO HOT 100」(2001年12月23日放送回)。
この週の音楽シーン
2001年12月23日、クリスマスまであと二日というこの週の「TOKIO HOT 100」のトップに立っていたのは、宇多田ヒカルの「TRAVELING」だった。当時の宇多田ヒカルは、デビュー作で日本の音楽シーンに衝撃をもたらした後、着実にアーティストとしての幅を広げていた時期にあたる。「TRAVELING」はタイトルの通り移動や旅を思わせる浮遊感のあるトラックメイクが特徴で、R&Bやヒップホップのグルーヴを取り入れながらも、彼女ならではの繊細なメロディラインとボーカルワークが際立つ一曲だった。年末という季節に、街の喧騒や人々の移動が増えるタイミングでこの曲が1位にあったことは、当時のリスナーの生活実感とも重なるものがあったのではないだろうか。
2位にはスガシカオの「CLOUDY」がランクインしている。独特のファンクネスと日常を切り取るような歌詞世界で支持を集めていたスガシカオらしい、グルーヴ感のある楽曲だ。3位の平井堅「ONE LOVE WONDERFUL WORLD」は、伸びやかなファルセットと壮大なメロディが印象的で、当時の平井堅がバラードシンガーとしての評価を確立しつつあった時期の楽曲として位置づけられる。日本人アーティストが上位を占める一方で、この週のチャートは海外アーティストの存在感も強い。4位のTHE CHEMICAL BROTHERSによる「STAR GUITAR」は、UKのビッグビートシーンを牽引してきた彼ならではのエレクトロニックなサウンドスケープが展開される楽曲で、当時のクラブミュージックとメインストリームの距離が縮まりつつあった時代を象徴していた。
5位のDREAMS COME TRUE「CRYSTAL VINE」は、90年代から続くバンドの安定した人気を示すものだし、6位のNO DOUBT feat. BOUNTY KILLERによる「HEY BABY」は、グウェン・ステファニーを擁するバンドがレゲエ・ダンスホールの要素を取り入れた挑戦的なコラボレーションとして注目された曲だ。ジャンルを越境する姿勢は、2000年代初頭のポップミュージックが多様化していく流れを体現していたと言える。7位のGREEN DAYによる「POPROCKS AND COKE」は、90年代パンクリバイバルの旗手として活躍してきたバンドの楽曲で、当時のロックシーンにおける彼らの立ち位置を感じさせる。
8位のSTEADY&CO.「ONLY HOLY STORY」、9位のIMAGE ALL STARSによる「イマージュムール〜カヴァレリア・ルスティカーナ間奏曲」は、クラシックの旋律をポップスのフォーマットに落とし込んだ試みとして異彩を放っており、10位のENYA「WILD CHILD」は、彼女ならではのヒーリング系サウンドと重層的なコーラスワークで独自の世界観を築いていた。こうして見渡すと、この週のTOP10は邦楽・洋楽、ロック・ポップス・エレクトロニカ・ヒーリングミュージックといった多彩なジャンルが並存しており、当時のラジオチャートが単一のトレンドに偏らず、多様な音楽ニーズを反映していたことがうかがえる。
年の瀬という特別な時期に、宇多田ヒカルの「TRAVELING」が1位を飾っていたという事実は、当時の彼女がすでに一過性のブームではなく、長く支持されるアーティストへと歩みを進めていたことの証左でもある。20年以上を経た今振り返っても、このチャートに並んだ楽曲群は、それぞれの形で2001年という時代の空気を鮮やかに封じ込めている。
2001年12月23日付 TOP10(出典:J-WAVE TOKIO HOT 100)
- 1位 TRAVELING — 宇多田 ヒカル ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 2位 CLOUDY — スガ シカオ ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 3位 ONE LOVE WONDERFUL WORLD — 平井 堅 ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 4位 STAR GUITAR — THE CHEMICAL BROTHERS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 5位 CRYSTAL VINE — DREAMS COME TRUE ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 6位 HEY BABY — NO DOUBT FEAT. BOUNTY KILLER ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 7位 POPROCKS AND COKE — GREEN DAY ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 8位 ONLY HOLY STORY — STEADY&CO. ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 9位 イイマージュムール~カヴァレリアルスティカーナ間奏曲 — IMAGE ALL STARS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 10位 WILD CHILD — ENYA ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す


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