1997年8月24日放送の J-WAVE「TOKIO HOT 100」を振り返る回顧コラムです。当時のチャート上位曲を手がかりに、その週の音楽シーンを読み解きます。
本サイトは非公式のファンサイトです。チャートデータの出典:J-WAVE「TOKIO HOT 100」(1997年8月24日放送回)。
この週の音楽シーン
1997年8月24日放送分のJ-WAVE「TOKIO HOT 100」を振り返ると、この週のTOP10がとても濃密な一枚のスナップショットになっていることに気づく。1位に輝いたのは、PUFF DADDY AND FAITH EVANS FEAT. 112の「I’LL BE MISSING YOU」。同年春に世を去ったThe Notorious B.I.G.への追悼として制作されたこの曲は、The Policeの名曲「Every Breath You Take」のあのギターフレーズを大胆にサンプリングし、そこにFaith Evans――B.I.G.の妻でもあったシンガー――の哀切なボーカルを重ねた構成が印象的だった。ヒップホップのビートとロックの記憶が地続きになった瞬間を、当時のリスナーは新鮮な驚きとともに受け止めたはずだ。追悼の重みを背負いながらも耳馴染みの良いメロディでチャートの上位を賑わせたこの曲は、90年代後半のヒップホップがポップシーンの中心へと歩みを進めていたことを象徴する一曲だったと言える。
2位以下を眺めると、同じ週の中に驚くほど多様な音楽が並んでいるのがわかる。MARIAH CAREYの「HONEY」は、彼女がよりアーバンでヒップホップ的な質感を取り入れていった時期の代表曲であり、1位の空気感とも呼応するところがある。一方でHANSONの「MMMBOP」は、当時10代前半だった3兄弟による弾けるようなポップソングで、夏らしい軽やかさをチャートに持ち込んでいた。年齢もサウンドの方向性もまったく異なるアーティストが同じ週の上位に並ぶこと自体が、90年代後半のポップシーンの懐の広さを物語っている。
映画タイアップという観点では、WILL SMITHの「MEN IN BLACK」も見逃せない。同名映画の主題歌として制作されたこの曲は、映画のヒットとともに世界的な広がりを見せ、ラップとポップの中間を軽やかに行き来するスミスのスタイルが夏の空気にぴったりだった。またCRYSTAL WATERS FEAT. DENNIS RODMANの「JUST A FREAK」のように、当時NBAのスター選手として異彩を放っていたデニス・ロッドマンが客演した曲がランクインしているのも、この時代特有のカルチャーの越境ぶりを感じさせる。スポーツとダンスミュージックが交差するという発想自体が、90年代らしい遊び心だったのだろう。
ヨーロッパ勢の存在感も忘れてはならない。MATT BIANCOの「SUNSHINE DAY」は、80年代から続くソフィスティケートされたポップ/AORの系譜を感じさせるサウンドで、都会的な夏の午後を思わせる。ANGGUNの「SNOW ON THE SAHARA」は、インドネシア出身でフランスを拠点に活動していた彼女ならではの、エキゾチックさとヨーロピアンなポップセンスが同居する一曲だ。THE SUPERNATURALSの「SMILE」も英国インディー・ロックらしい素朴な温かみを持ち込んでおり、こうした曲がヒップホップやR&Bと並んで上位にランクインしていたことが、当時のJ-WAVEのチャートが持っていた選曲の幅広さをよく表している。
そして10位には日本のアーティストJUICEの「BEST DAYS」がランクイン。洋楽が大半を占める中に邦楽が一曲食い込んでいる構図は、当時のTOKIO HOT 100が国内外の垣根なく「今聴かれている曲」を並べていたことの証でもある。改めてこの週のTOP10を通して見ると、追悼というシリアスなテーマを背負った1位曲を中心に、ティーンポップ、映画タイアップ、スポーツカルチャーとの交差、ヨーロピアンポップ、そして邦楽までが一つのランキングに同居していた。1997年という年がジャンルの境界線を少しずつ溶かしていく過渡期だったことを、この一週間の記録は静かに伝えてくれる。
1997年8月24日付 TOP10(出典:J-WAVE TOKIO HOT 100)
- 1位 I’LL BE MISSING YOU — PUFF DADDY AND FAITH EVANS FEAT. 112 ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 2位 SUNSHINE DAY — MATT BIANCO ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 3位 HONEY — MARIAH CAREY ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 4位 MMM BOP — HANSON ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 5位 SNOW ON THE SAHARA — ANGGUN ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 6位 SOMEONE — SWV FEAT. PUFF DADDY ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 7位 JUST A FREAK — CRYSTAL WATERS FEAT. DENNIS RODMAN ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 8位 SMILE — THE SUPERNATURALS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 9位 MEN IN BLACK — WILL SMITH ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 10位 BEST DAYS — JUICE ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す


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