2002年7月28日放送の J-WAVE「TOKIO HOT 100」を振り返る回顧コラムです。当時のチャート上位曲を手がかりに、その週の音楽シーンを読み解きます。
本サイトは非公式のファンサイトです。チャートデータの出典:J-WAVE「TOKIO HOT 100」(2002年7月28日放送回)。
この週の音楽シーン
2002年7月28日放送の「TOKIO HOT 100」で1位に輝いたのは、レッド・ホット・チリ・ペッパーズの「BY THE WAY」だった。同名アルバムからのタイトル曲で、前作「カリフォルニケイション」で見せたメロディアスな路線をさらに深化させ、ファンクネスと哀愁を帯びたポップ感覚を融合させた一曲。ジョン・フルシアンテのギターが描く透明感のあるフレーズと、アンソニー・キーディスの歌い上げるヴォーカルが印象的で、90年代の激しいミクスチャー・ファンクから脱皮した彼らの新しい成熟を象徴する存在として、この夏多くのリスナーに受け入れられていたことがうかがえる。真夏の空気に馴染むような開放感と、どこか都会的な洒脱さを併せ持つサウンドは、ラジオという媒体との相性も良かったのではないだろうか。
この週のTOP10を眺めると、洋楽・邦楽が入り混じり、ジャンルの垣根が低かった時代の空気を感じる。オアシスの「STOP CRYING YOUR HEART OUT」は、ブリットポップ全盛期を経てバンドが円熟期に入りつつあったことを示す一曲で、エアロスミスの「GIRLS OF SUMMER」もベテランらしいストレートなロックンロールで存在感を放っていた。ビーニ・マン feat. ジャネットの「FEEL IT BOY」は、ダンスホール・レゲエがR&Bやポップスと接続し、クラブからラジオへと広がっていった当時のクロスオーバーの流れを体現している。
邦楽勢にも目を向けると、EGO-WRAPPIN’の「くちばしにチェリー」は、ジャズ・ブルース・和のエッセンスを大胆にミックスした唯一無二のサウンドで、当時のシティポップ的リバイバルの機運を先取りしていたように思える。元ちとせ「ハイヌミカゼ」は奄美民謡の唱法をポップスの文脈に昇華させ、和製ワールドミュージックとして新鮮な驚きをもたらした。CHEMISTRYの「FLOATIN’」は、デビュー間もない彼らの透明感あるハーモニーが際立つ楽曲で、R&B的な質感が邦楽ポップスに浸透していく流れを感じさせる。宇多田ヒカルの「DEEP RIVER」は、アルバム『DEEP RIVER』からのタイトル曲として、内省的でシリアスな作風を打ち出していた時期の彼女らしい一曲だ。RIP SLYMEの「楽園ベイベー」は、日本語ラップがポップスとして広く親しまれていく過程を象徴する軽快なトラックであり、Mr.Childrenの「ANY」は、大衆的な支持を保ちながらも作家性を追求していたバンドの姿勢が垣間見える。
こうして振り返ると、2002年夏のこの週のチャートは、洋楽ロックの円熟、レゲエ/R&Bのクロスオーバー、邦楽の多様化という複数の潮流が同時に鳴っていた瞬間の記録といえる。レッチリの「BY THE WAY」が1位に立ったことは、単なる人気バンドの新曲というだけでなく、ロックがよりメロディックで開放的な方向へと向かっていく時代の空気そのものを象徴していたのかもしれない。ラジオから流れてきたこの一曲を、真夏の記憶とともに思い出すリスナーも多いのではないだろうか。
2002年7月28日付 TOP10(出典:J-WAVE TOKIO HOT 100)
- 1位 BY THE WAY — RED HOT CHILI PEPPERS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 2位 くちばしにチェリー — EGO-WRAPPIN’ ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 3位 ハイヌミカゼ — 元 ちとせ ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 4位 FLOATIN’ — CHEMISTRY ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 5位 STOP CRYING YOUR HEART OUT — OASIS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 6位 FEEL IT BOY — BEENIE MAN FEAT. JANET ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 7位 DEEP RIVER — 宇多田 ヒカル ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 8位 楽園ベイべ- — RIP SLYME ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 9位 GIRLS OF SUMMER — AEROSMITH ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 10位 ANY — MR.CHILDREN ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す


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