2019年6月23日放送の J-WAVE「TOKIO HOT 100」を振り返る回顧コラムです。当時のチャート上位曲を手がかりに、その週の音楽シーンを読み解きます。
本サイトは非公式のファンサイトです。チャートデータの出典:J-WAVE「TOKIO HOT 100」(2019年6月23日放送回)。
この週の音楽シーン
2019年6月23日放送の「TOKIO HOT 100」で1位に輝いたのは、ケイティ・ペリーの「NEVER REALLY OVER」だった。この曲は、彼女がこれまで築き上げてきたポップアイコンとしてのイメージに、より内省的で繊細な質感を重ねた一曲として印象に残っている。エレクトロニックなビートを基調にしながらも、サビでのメロディの伸びやかさには、90年代から2000年代にかけてのユーロダンスやトランスの残響を感じさせるところがあり、単なる懐古ではなく、当時のポップスシーンが持っていた「過去のダンスミュージックの語彙を現代的に再解釈する」という潮流の中に位置づけられる楽曲だったと言える。
2019年という年は、ストリーミングサービスが日本でも本格的に浸透し、洋楽・邦楽を問わずプレイリスト文化がリスナーの音楽体験を大きく変えつつあった時期である。このチャートのTOP10を眺めても、その多様性がよく表れている。ジャスティン・ビーバーを迎えたエド・シーランの「I DON’T CARE」、テイラー・スウィフトがブレンドン・ユーリーをフィーチャーした「ME!」など、海外ポップスの主要アーティストたちがコラボレーションを通じて新しいリスナー層を開拓しようとしていた動きが見て取れる。こうしたフィーチャリングの多用は、ストリーミング時代における「話題性の掛け算」という戦略が、ヒットチャート全体に浸透していたことの証でもあった。
一方で、この週のチャートには邦楽勢の存在感も光っていた。2位にはサカナクションの「忘れられないの」、8位には椎名林檎の「TOKYO」がランクインしている。サカナクションは、エレクトロニックな音響処理と歌謡的なメロディを融合させるバンドとして独自の地位を築いており、この曲もその両面性を体現していた。椎名林檎の「TOKYO」は、彼女ならではの都市感覚と言葉の鋭さが光る楽曲で、洋楽ポップスが並ぶ中でも異彩を放つ存在だったと言える。また7位のSuperflyによる「AMBITIOUS」も、力強いボーカルとロックンロールの躍動感で、邦楽ロックの底力を示していた。
洋楽勢では、5位にアヴィーチーの「HEAVEN」がランクインしている点も見逃せない。アヴィーチーは前年の2018年に急逝しており、この曲は彼の遺した音楽の一つとして、多くのリスナーにとって特別な意味を持っていたはずだ。EDMシーンを牽引した彼のメロディックなセンスは、死後も色褪せることなく、むしろその喪失感とともにより深く聴かれていたのではないだろうか。6位のマドンナとマルーマによる「MEDELLIN」も、ベテランアーティストがラテン系のサウンドと積極的に接続していく当時の潮流を反映した一曲だった。
9位のジェス・グリンとジャックス・ジョーンズによる「ONE TOUCH」、10位のジョーダン・レイキーの「MIND’S EYE」は、UKのソウルフルなポップス/R&Bシーンの奥行きを感じさせるラインナップであり、単に大ヒット曲だけでなく、良質な音楽を掘り起こして紹介しようとする番組の姿勢が垣間見える選曲だった。この週のTOP10全体を通して見えてくるのは、メインストリームのポップスと、邦楽の独自性、そして少しマニアックな良質音楽への目配りが同居する、当時のラジオチャートらしいバランス感覚である。ケイティ・ペリーの1位を軸に、時代の空気を丁寧に切り取った一週間だったと言えるだろう。
2019年6月23日付 TOP10(出典:J-WAVE TOKIO HOT 100)
- 1位 NEVER REALLY OVER — KATY PERRY ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 2位 忘れられないの — サカナクション ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 3位 I DON’T CARE — ED SHEERAN AND JUSTIN BIEBER ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 4位 ME! — TAYLOR SWIFT FEAT. BRENDON URIE OF PANIC! AT THE DISCO ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 5位 HEAVEN — AVICII ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 6位 MEDELLIN — MADONNA AND MALUMA ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 7位 AMBITIOUS — SUPERFLY ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 8位 TOKYO — 椎名 林檎 ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 9位 ONE TOUCH — JESS GLYNNE AND JAX JONES ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 10位 MIND’S EYE — JORDAN RAKEI ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す


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