TOKIO HOT 100 ランキングアーカイブ(2020年11月8日放送)

TOKIO HOT 100 2020-11-08 放送回ランキング ランキング

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2020年11月8日放送の J-WAVE「TOKIO HOT 100」を振り返る回顧コラムです。当時のチャート上位曲を手がかりに、その週の音楽シーンを読み解きます。

本サイトは非公式のファンサイトです。チャートデータの出典:J-WAVE「TOKIO HOT 100」(2020年11月8日放送回)。

この週の音楽シーン

2020年11月8日放送回のTOP10を見返すと、この年ならではの空気が濃く漂っている。コロナ禍によってライブやフェスが軒並み制限され、音楽との接し方が「外で浴びるもの」から「部屋で聴き込むもの」へと重心を移していた時期。そんな中で1位に立ったNULBARICHの「ASH」feat. VAUNDYは、まさにその年の気分を象徴する一曲だったように思う。NULBARICHはJQを中心に、ブラックミュージックやシティポップの語法を独自の透明感で再構築してきたバンドで、都市の夜をそのままサウンドにしたようなムードが持ち味だ。そこにフィーチャリングとして招かれたVaundyは、2020年に「東京フラッシュ」「怪獣の花唄」などで一気に存在感を強めた新世代アーティスト。ジャンルの垣根を軽やかに越えるボーカルと制作センスを持つ彼が、NULBARICHの洗練されたトラックに声を重ねることで、既存のリスナー層と新しい世代のリスナーを結びつける一曲になった点が興味深い。派手にシャウトするのではなく、抑制の効いた歌い回しの中に熱を閉じ込めるような表現は、当時のR&B/シティポップ再評価の流れとも呼応していた。 TOP10全体を眺めると、国内外の勢力図がまだら模様になっているのも2020年後半らしい。2位にはArianaGrandeの「positions」がランクイン。彼女は前年からの充実期をそのまま持続させ、洋楽ポップの中心にい続けていた。3位のbeabadoobeeは、ローファイ/インディーロックの新星として海外の若いリスナーから熱い支持を受けていた存在で、TOKIO HOT 100にも早い段階からその名が刻まれている。9位のBLACKPINKは、この年のうちに世界的な存在感をさらに拡大させたグループで、「Lovesick Girls」はそのモードを象徴する一曲だった。 国内勢では4位にLiSAの「炎」。『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の主題歌として、この年のポップカルチャー全体を巻き込む社会現象となった楽曲であり、音楽チャートという枠を超えて広く語られていたのを覚えている人も多いはずだ。6位のaikoは変わらぬ独自の言葉選びとメロディーで安定した支持を集め、8位の藤井風は「青春病」を含む活動を通じて、まさにブレイク前夜の熱量をチャートに刻んでいた時期だった。5位のMERCI,MERCYや7位のJulia Michaelsも、当時のポップス/R&Bの潮流を映す存在として並んでいる。 そして見逃せないのが10位、Stevie Wonderの新曲。長らく新作から遠ざかっていたレジェンドが、Rapsody、Cordae、Busta Rhymes、CHIKAという世代も国境も超えた顔ぶれをフィーチャーして届けた一曲は、それだけでニュースになる出来事だった。ベテランと新世代が同じテーブルに着くという構図は、2020年という混沌の中で音楽が持ち得た希望の形のひとつだったのかもしれない。 こうして振り返ると、この週のTOP10は国内バンドシーンの成熟、若手シンガーソングライターの台頭、海外ポップ/ヒップホップの多様化、そして映画音楽という社会現象が一枚のチャートに同居する、稀有な瞬間だったと言える。NULBARICH×Vaundyの「ASH」が首位に立ったことは、単なる偶然ではなく、世代とジャンルを横断する才能が交わる瞬間をラジオのチャートが正確に捉えていた証でもあるだろう。

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2020年11月8日付 TOP10(出典:J-WAVE TOKIO HOT 100)

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