2011年5月8日放送の J-WAVE「TOKIO HOT 100」を振り返る回顧コラムです。当時のチャート上位曲を手がかりに、その週の音楽シーンを読み解きます。
本サイトは非公式のファンサイトです。チャートデータの出典:J-WAVE「TOKIO HOT 100」(2011年5月8日放送回)。
この週の音楽シーン
2011年5月8日放送回のTOP10を見返すと、震災から二カ月という時期にあって、洋楽・邦楽・国境を越えたコラボレーションが入り混じる、ラジオチャートらしい多層的な景色が広がっている。その頂点に立ったのが、スウェーデン出身のシンガーソングライター、MAIA HIRASAWAによる「BOOM!」だった。北欧という土地は、ポップスの文脈で語られるとき、しばしば「透明感」や「メランコリー」といった言葉とセットで紹介されがちだが、MAIA HIRASAWAの音楽はそうした型に収まりきらない、軽やかな躍動感を持っていたのが印象的だ。シンプルなギターの音色と、飾らないボーカルが醸し出す親密さは、当時の日本のリスナーにとって、どこか肩の力を抜かせてくれる存在だったのではないだろうか。派手な仕掛けよりも、日常に寄り添う音楽が求められていた時期だったことを思うと、この曲が1位に選ばれたことには自然な必然性を感じる。
2位には安室奈美恵がAI、土屋アンナと共演した「WONDER WOMAN」がランクイン。ジャンルも活動フィールドも異なる女性表現者たちが一つの楽曲に集うという構図自体が、当時のポップミュージックの多様性を象徴していた。3位のBEASTIE BOYSによる「MAKE SOME NOISE」は、ヒップホップとロックの境界を軽やかに越境してきたグループらしいエネルギーに満ちた楽曲で、彼らの息の長いキャリアを改めて感じさせるものだった。4位のFOO FIGHTERSによる「ROPE」も、ロックバンドとしての底力を見せる一曲。ギターロックが決して過去のものではないことを、骨太なサウンドで証明していた。
邦楽勢に目を移せば、5位に平井堅「いとしき日々よ」、9位にユニコーン「デジタルスープ」がランクインしている点も興味深い。前者はバラードシンガーとしての平井堅の表現力が際立つ楽曲であり、後者は90年代から続くバンドが変わらぬユーモアと演奏力を保ち続けていることを示していた。世代もスタイルも異なるアーティストたちが同じチャートの中で拮抗している様子は、ラジオという媒体がジャンルを横断してリスナーに音楽を届けていたことの証左でもある。
6位のTOWA TEIが高橋幸宏、水原希子と共に手がけた「THE BURNING PLAIN」は、音楽・ファッション・カルチャーが渾然一体となった都市的な感性を感じさせる楽曲で、東京発のクロスオーバーな表現の面白さを教えてくれる。7位ののあのわ「HAVE A GOOD DAY!」、8位のRASMUS FABERとBELDINAによる「GOOD TIMES COME BACK」も、それぞれ異なるアプローチながら、前向きな空気を音楽に託していた点で共通していたように思う。そして10位には、当時アルバムを引っさげて世界的に活動していたBRITNEY SPEARSの「TILL THE WORLD ENDS」がランクイン。海外ポップスの最前線が、日本のラジオチャートの中でもしっかりと存在感を放っていたことがわかる。
このように見渡してみると、この週のTOP10は、北欧の弾き語りから王道のUSポップ、日本のベテランバンドまでを一つのリストの中に共存させていた。ジャンルもキャリアも国籍も異なるアーティストたちが並び立つ光景は、当時のリスナーが求めていた音楽の幅広さそのものだったのかもしれない。「BOOM!」という控えめなタイトルの曲が頂点に立ったこの週は、派手さよりも実直さが評価された、ある種特別な瞬間だったと言えるだろう。
2011年5月8日付 TOP10(出典:J-WAVE TOKIO HOT 100)
- 1位 BOOM! — MAIA HIRASAWA ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 2位 WONDER WOMAN — 安室 奈美恵 FEAT. AI AND 土屋 アンナ ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 3位 MAKE SOME NOISE — BEASTIE BOYS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 4位 ROPE — FOO FIGHTERS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 5位 いとしき日々よ — 平井 堅 ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 6位 THE BURNING PLAIN — TOWA TEI WITH 高橋 幸宏 AND 水原 希子 ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 7位 HAVE A GOOD DAY! — のあのわ ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 8位 GOOD TIMES COME BACK — RASMUS FABER FEAT. BELDINA ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 9位 デジタルスープ — ユニコーン ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 10位 TILL THE WORLD ENDS — BRITNEY SPEARS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す


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