2003年10月5日放送の J-WAVE「TOKIO HOT 100」を振り返る回顧コラムです。当時のチャート上位曲を手がかりに、その週の音楽シーンを読み解きます。
本サイトは非公式のファンサイトです。チャートデータの出典:J-WAVE「TOKIO HOT 100」(2003年10月5日放送回)。
この週の音楽シーン
2003年10月5日放送回のTOKIO HOT 100は、邦楽と洋楽が入り混じる、この番組らしい多国籍なランキングとなった。首位に立ったのは山崎まさよしの「風の伝言(メッセージ)」。90年代後半からシンガーソングライター、そして卓越したアコースティックギタープレイヤーとして独自の地位を築いてきた彼の楽曲が、洋楽ヒットの数々を抑えてトップに立ったことは、当時のリスナー層の広がりを象徴する出来事だったといえる。ギター一本で紡ぐメロディと、日本語詞の情感を大切にする歌唱スタイルは、デジタル化が進み始めた音楽シーンの中でむしろ際立って響いていたのではないだろうか。 2位にはブラック・アイド・ピーズがジャスティン・ティンバーレイクを迎えた「WHERE IS THE LOVE」がランクイン。ヒップホップグループがポップフィールドへと大きく踏み出し、社会的なメッセージ性を持った楽曲で世界的なヒットを飛ばした年でもあった。ジャスティンはNSYNCというボーイズバンド出身でありながら、この頃すでにソロアーティストとしての存在感を強めており、ヒップホップとの越境的なコラボレーションはこの時代らしい動きだった。 3位の元ちとせ「いつか風になる日」も見逃せない。奄美群島の伝統的な歌唱法である「裏声(フシ)」を独自のポップスへと昇華させた彼女の音楽は、2002年の「ワダツミの木」以降、日本の音楽シーンに新しい風をもたらしていた。同じ「風」という言葉を冠した楽曲が1位と3位に並んだのも、この週の興味深い符合である。 4位のケミカル・ブラザーズは、フレーミング・リップスのウェイン・コインをヴォーカルに迎えた「THE GOLDEN PATH」で登場。ビッグビートの旗手として90年代から支持を集めてきた彼らが、オルタナティブロックのアイコンと組んだこの楽曲は、ジャンルを超えたコラボレーションの好例だった。5位のくるりは、日本のオルタナティブロックシーンを牽引する存在として、独自の音楽性を貫いていた時期にあたる。 6位にはソウルの女王アレサ・フランクリンが名を連ね、7位はファレル・ウィリアムスがジェイ・Zをフィーチャーした「FRONTIN’」。ファレルはこの頃プロデューサーとしてもネプチューンズの一員として絶大な影響力を持っており、自身のソロ活動もヒップホップ/R&Bシーンの新しい潮流を作っていた。8位のジェットはオーストラリア出身、ギターロックの原点回帰を掲げるバンドとして、ザ・ストロークスらと並びガレージロックリバイバルの一翼を担っていた。9位のステイシー・オリコはティーン世代のR&Bシンガーとして注目を集め、10位のダイドはイギリス出身の透明感あるヴォーカルで、映画やドラマのサウンドトラックにも起用されるなど幅広い支持を得ていた時期だった。 この週のTOP10を俯瞰すると、邦楽のシンガーソングライターやバンドが洋楽のヒップホップ、エレクトロニカ、ロック、ソウルと肩を並べる構成になっており、ジャンルも国籍も横断しながらリスナーの耳を刺激するプレイリストとしての機能を果たしていたことがうかがえる。CDセールスの黄金時代が終わりを告げつつあった2003年、ラジオという媒体が持つ選曲の多様性と発見の喜びが、このチャートには色濃く反映されていたのではないだろうか。
2003年10月5日付 TOP10(出典:J-WAVE TOKIO HOT 100)
- 1位 風の伝言(メッセージ) — 山崎 まさよし ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 2位 WHERE IS THE LOVE — BLACK EYED PEAS FEAT. JUSTIN TIMBERLAKE ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 3位 いつか風になる日 — 元 ちとせ ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 4位 THE GOLDEN PATH — THE CHEMICAL BROTHERS FEAT. THE FLAMING LIPS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 5位 HOW TO GO — くるり ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 6位 THE ONLY THING I MISSIN’ — ARETHA FRANKLIN ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 7位 FRONTIN’ — PHARRELL FEAT. JAY-Z ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 8位 ARE YOU GONNA BE MY GIRL — JET ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 9位 STUCK — STACIE ORRICO ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 10位 WHITE FLAG — DIDO ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す


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