1992年12月27日放送の J-WAVE「TOKIO HOT 100」を振り返る回顧コラムです。当時のチャート上位曲を手がかりに、その週の音楽シーンを読み解きます。
本サイトは非公式のファンサイトです。チャートデータの出典:J-WAVE「TOKIO HOT 100」(1992年12月27日放送回)。
この週の音楽シーン
1992年も暮れようとしていたこの週、J-WAVE「TOKIO HOT 100」の頂点に輝いていたのは、ホイットニー・ヒューストンの「アイ・ウィル・オールウェイズ・ラヴ・ユー」だった。この年の秋に公開された映画「ボディガード」の主題歌として世に放たれたこの曲は、もともとドリー・パートンが書いたカントリー楽曲でありながら、ホイットニーの圧倒的な声量とゴスペル的な発声によってまったく新しい命を吹き込まれ、年末のチャートを完全に支配していた。イントロなしでいきなりアカペラから歌い出す構成、そして曲の後半に向けて感情が高まっていく壮大なビルドアップは、当時のラジオでもテレビでも繰り返しオンエアされ、街中どこに行っても耳にする「時代のサウンドトラック」となっていた。年の瀬という季節感も相まって、この曲の持つドラマティックな別れと愛の物語は、多くのリスナーの心情と重なり合っていたのではないだろうか。
この週のTOP10を見渡すと、1992年という年がいかに多様な音楽性を内包していたかがよくわかる。2位にはフランスの女優にして歌手、ヴァネッサ・パラディが「ロネッツ」のカバー曲「ビー・マイ・ベイビー」で入り、ヨーロピアンなポップセンスを香らせている。3位にはマドンナの「ディーパー・アンド・ディーパー」がランクインしており、当時アルバム「エロティカ」を引っさげて挑発的なイメージ戦略を展開していた彼女らしい、ハウス・ミュージックの要素を取り入れたダンサブルなナンバーが存在感を放っていた。4位のシャーデーによる「ノー・オーディナリー・ラブ」は、彼女ならではの気だるく洗練されたスモーキーヴォーカルが際立つ楽曲で、当時のアーバンなAOR/ソウルリスナーの支持を集めていた。
また5位にはベイビーフェイスとトニ・ブラクストンによる「ギヴ・ユー・マイ・ハート」がランクインしており、この時期のR&Bシーンを支えたベイビーフェイスのソングライター/プロデューサーとしての存在感の大きさを物語っている。6位のジェームス・イングラムや8位のケニーG&アーロン・ネヴィルといった名前も、この時代のアダルト・コンテンポラリー的な音楽の豊かさを感じさせるラインナップだ。7位のマキシ・プリーストによる「グルーヴィン・イン・ザ・ミッドナイト」はレゲエ由来のグルーヴをポップスに落とし込んだ楽曲で、当時のクロスオーバー感覚をよく表している。9位のウェンディ・モートン、10位のボビー・ブラウンも含め、このチャートにはR&B/ソウル、ダンス、ロック、ワールドミュージック的な要素が渾然一体となっていた1992年の音楽シーンの縮図が見えてくる。
J-WAVEというFM局が「TOKIO HOT 100」を通じて発信していたのは、単なる洋楽ヒットの紹介ではなく、東京という都市で受け入れられる音楽の「気分」そのものだったように思う。この週のトップに君臨した「アイ・ウィル・オールウェイズ・ラヴ・ユー」は、その後何年にもわたって語り継がれる特別な一曲となり、ホイットニー・ヒューストンというアーティストの代表曲として歴史に刻まれていくことになる。年の瀬の東京の空気の中で、この壮大なバラードが鳴り響いていたことを想像すると、1992年という年の終わりが持っていた独特の空気感が、今も鮮やかに蘇ってくるようだ。
1992年12月27日付 TOP10(出典:J-WAVE TOKIO HOT 100)
- 1位 I WILL ALWAYS LOVE YOU — WHITNEY HOUSTON ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 2位 BE MY BABY — VANESSA PARADIS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 3位 DEEPER AND DEEPER — MADNNA ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 4位 NO ORDINARY LOVE — SADE ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 5位 GIVE U MY HEART — BABYFACE FEAT. TONI BRAXTON ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 6位 ALWAYS YOU — JAMES INGRAM ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 7位 GROOVIN’IN THE MIDNIGHT — MAXI PRIEST ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 8位 EVEN IF MY HEART WOULD BREAK — KENNY G. AND AARON NEVILLE ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 9位 STEP BY STEP — WENDY MOTEN ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 10位 GOOD ENOUGH — BOBBY BROWN ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す


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