1991年5月5日放送の J-WAVE「TOKIO HOT 100」を振り返る回顧コラムです。当時のチャート上位曲を手がかりに、その週の音楽シーンを読み解きます。
本サイトは非公式のファンサイトです。チャートデータの出典:J-WAVE「TOKIO HOT 100」(1991年5月5日放送回)。
この週の音楽シーン
1991年5月5日のTOKIO HOT 100の頂点に立ったのは、スウェーデン出身のデュオ、ROXETTEの「JOY RIDE」だった。Per GessleとMarie Fredrikssonという実力派のふたりが紡ぐこの曲は、前年から続く「The Look」「Listen to Your Heart」「It Must Have Been Love」といった一連のヒットの延長線上にあり、北欧発のポップスがアメリカやヨーロッパのメインストリームで違和感なく受け入れられていた時代を象徴する一曲だ。乾いたギターとキャッチーなメロディ、そしてMarieの伸びやかな歌声が絡み合うサウンドは、当時のFM東京圏のリスナーにも都会的な爽快感として響いたのではないだろうか。アルバムタイトルにもなった「Joyride」自体が、疾走感と開放感をテーマにした作品だったことも、この曲がチャートの先頭に立つにふさわしい理由だったように思う。
2位にはTHE ROLLING STONESの「HIGHWIRE」がランクイン。当時はまさに湾岸戦争の記憶がまだ生々しい時期で、この曲は時事的なテーマを扱った歌詞で話題を呼んだ楽曲だった。結成から四半世紀以上を経てもなお、社会の空気を切り取ってロックに落とし込む姿勢は、他のどんなベテランバンドとも一線を画すものだったと言える。3位のWILSON PHILLIPSは、The Beach BoysとThe Mamas & the Papasという伝説的グループの子どもたちによるハーモニー重視のユニットで、親世代の音楽的遺伝子を受け継ぎながらも90年代らしい洗練されたAOR/ポップサウンドを聴かせてくれる存在だった。
4位のC AND C MUSIC FACTORYは、当時勃興していたハウス/ダンスミュージックのムーブメントを象徴する存在で、クラブとラジオの垣根が急速に近づいていた時代の空気を伝えている。5位のLENNY KRAVITZはヴィンテージなロック/ソウルサウンドを新しい世代の感性で鳴らし、後のリバイバル系ロックの潮流を先取りしていた。6位のHARRY CONNICK JR.は若くしてジャズ・スタンダードの世界に新風を吹き込んだ歌手で、ポップチャートの中にジャズが自然に混ざり込む懐の深さも、この時代のラジオシーンの魅力のひとつだった。
7位のROD STEWARTによる「RHYTHM OF MY HEART」は、ケルティックな響きを取り入れたアレンジで、ロックベテランが新しい音楽性に挑戦し続ける姿を見せてくれる楽曲だ。8位のSTEVIE Bはフリースタイル/ダンスポップの旗手として、当時のクラブカルチャーとポップスの融合を体現していた。9位のCHRIS REAは渋みのある歌声とスライドギターで独自の世界観を築き上げたシンガーソングライターで、じっくりと聴かせるタイプの楽曲がこうしたアップテンポの曲群の中に混じっているのも、当時のチャートの多様性を物語っている。そして10位のENIGMAによる「SADNESS PART 1」は、グレゴリオ聖歌のサンプリングとダンスビートを融合させた斬新な作風で、ワールドミュージックとエレクトロニカの境界を溶かした一曲として、当時大きな話題を呼んでいた。
こうして並べてみると、この週のTOP10はロック、ポップ、ダンス、ジャズ、AOR、そしてワールド/アンビエントまで、実に幅広いジャンルが同居していたことがわかる。バブル経済の余韻が残りつつも新しい価値観が芽生え始めていた1991年の日本で、こうした多国籍かつジャンル横断的なチャートが電波に乗っていたことは、当時のリスナーにとって刺激的な音楽体験だったに違いない。ROXETTEの軽やかな疾走感を先頭に、時代の気分を映し出す一枚一枚が並んだこの週のTOP10は、今振り返っても実に豊かな音楽的スナップショットだと言えるだろう。
1991年5月5日付 TOP10(出典:J-WAVE TOKIO HOT 100)
- 1位 JOY RIDE — ROXETTE ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 2位 HIGHWIRE — THE ROLLING STONES ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 3位 YOU’RE IN LOVE — WILSON PHILLIPS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 4位 HERE WE GO — C AND C MUSIC FACTORY ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 5位 ALWAYS ON THE RUN — LENNY KRAVITZ ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 6位 WE ARE IN LOVE — HARRY CONNICK JR. ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 7位 RHYTHM OF MY HEART — ROD STEWART ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 8位 BECAUSE I LOVE YOU — STEVIE B ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 9位 HEAVEN — CHRIS REA ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 10位 SADNESS PART 1 — ENIGMA ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す


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