1990年12月9日放送の J-WAVE「TOKIO HOT 100」を振り返る回顧コラムです。当時のチャート上位曲を手がかりに、その週の音楽シーンを読み解きます。
本サイトは非公式のファンサイトです。チャートデータの出典:J-WAVE「TOKIO HOT 100」(1990年12月9日放送回)。
この週の音楽シーン
1990年12月9日放送の「TOKIO HOT 100」を振り返ると、1位に輝いていたのはホイットニー・ヒューストンの「I’M YOUR BABY TONIGHT」だった。80年代を代表するディーバとして、バラードやダンスチューンで数々のヒットを積み上げてきた彼女が、90年代の入り口でこの曲を放ったことには大きな意味があったように思う。プロデュースにはL.A.リード&ベイビーフェイスが名を連ね、それまでのゴージャスで王道なポップスの路線から、当時勃興していたニュージャックスウィングのグルーヴを取り入れたサウンドへと踏み出した一曲だった。タイトルの持つ親密で挑発的なニュアンスも含め、清廉なイメージが強かったホイットニーが少し違う表情を見せたことで、リスナーに新鮮な驚きを与えたのではないだろうか。90年代という新しい10年の始まりに、彼女自身がサウンドの更新を試みていたことは象徴的だ。
このTOP10全体を眺めると、当時のブラックミュージック・シーンの熱気がそのまま伝わってくる。2位のラルフ・トレスヴァントはニュー・エディション出身のソロ第一弾として注目を集めていた存在で、3位にはマドンナの「JUSTIFY MY LOVE」がランクインしている。この曲もまたリズム主体でセクシャルな表現を強く押し出した作品で、当時話題性の高さで大きく報じられていたことを思い出す人も多いだろう。4位のジャネット・ジャクソンや8位のマライア・キャリーも含め、女性アーティストたちがそれぞれの個性でチャートの上位を占めていたのが印象的だ。マライアはこの時期にデビューを果たしたばかりで、「LOVE TAKES TIME」はその透明感のある歌声が広く知られるきっかけとなった楽曲である。
男性アーティストの側では、7位のガイに象徴されるように、ニュージャックスウィングの流れが色濃く反映されている。ガイはテディ・ライリーが手掛けたグループとして、このジャンルそのものを牽引した存在だ。5位のジョニー・ギルもニュー・エディション人脈から羽ばたいたシンガーであり、ブラックミュージックの新しい世代が次々と台頭していた時期であることがよくわかる並びだ。9位のサーフェイス、10位のスティーヴィー・Bのようなスロウ・ジャムやフレディスタイルのダンスポップも共存しており、当時のR&B/ポップシーンの多層的な広がりが感じられる。
一方で6位にはウィルソン・フィリップスがランクインしている。ビーチ・ボーイズやママス&パパスの血を引く3人によるハーモニーが持ち味のグループで、こうしたウェストコースト由来のポップ・ロックがブラックミュージック中心のチャートに混じっていたことも、90年代初頭という時代の多様性を物語っている。全体としてこの週のTOP10は、80年代の王道ポップスから、ニュージャックスウィングやヒップホップの要素を吸収した新しいR&Bへと移行していく、まさに過渡期のスナップショットだったと言える。ホイットニーが1位に立っていたこと自体が、その変化の大きさを象徴していたのではないだろうか。
1990年12月9日付 TOP10(出典:J-WAVE TOKIO HOT 100)
- 1位 I’M YOUR BABY TONIGHT — WHITNEY HOUSTON ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 2位 SENSITIVITY — RALPH TRESVANT ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 3位 JUSTIFY MY LOVE — MADONNA ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 4位 LOVE WILL NEVER DO — JANET JACKSON ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 5位 FAIRWEATHER FRIEND — JONNY GILL ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 6位 IMPULSIVE — WILSON PHILLIPS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 7位 I WANNA GET WITH U — GUY ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 8位 LOVE TAKES TIME — MARIAH CAREY ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 9位 THE FIRST TIME — SURFACE ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 10位 BECAUSE I LOVE YOU — STEVIE B ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す


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