1990年1月14日放送の J-WAVE「TOKIO HOT 100」を振り返る回顧コラムです。当時のチャート上位曲を手がかりに、その週の音楽シーンを読み解きます。
本サイトは非公式のファンサイトです。チャートデータの出典:J-WAVE「TOKIO HOT 100」(1990年1月14日放送回)。
この週の音楽シーン
1990年最初期、1月14日放送の「TOKIO HOT 100」を振り返ると、1位に輝いていたのは「I’LL BE GOOD TO YOU」。プロデューサーであり音楽界の巨匠クインシー・ジョーンズが、レイ・チャールズとチャカ・カーンという世代も個性も異なる二人のシンガーを一つの楽曲に招き入れたこの一曲は、まさに80年代から90年代への橋渡しを象徴するようなプロジェクトだったといえるでしょう。もともとブラザーズ・ジョンソンのヒット曲として知られていたこのナンバーを、ソウルとブルースの生き証人であるレイ・チャールズの深みある歌声と、チャカ・カーンの伸びやかで力強いボーカルが交差することで、まったく新しい輝きを持つ楽曲へと生まれ変わらせています。クインシー・ジョーンズという人物が持つ、ジャンルやジェネレーションを軽々と越えていく懐の深さが凝縮された仕上がりであり、80年代のブラックミュージックが積み重ねてきた成果を、次の時代へと運ぶような一曲だったのではないでしょうか。
この週のTOP10全体を眺めると、時代の転換点らしい多彩さが見えてきます。2位にはフィル・コリンズの「アナザー・デイ・イン・パラダイス」。ソロアーティストとして絶頂期にあった彼が、ポップの文脈の中に社会的なテーマをそっと織り込んだこの曲は、90年代という新しい10年に向けて、音楽が担う役割の変化を予感させるものでした。3位のジャネット・ジャクソンの「リズム・ネイション」も見逃せません。ジャム&ルイスとのタッグによる硬質なビートとメッセージ性は、80年代マイケル・ジャクソン一家の系譜を継ぎながらも、90年代のダンスミュージックが向かう方向をはっきりと指し示していました。
4位のビリー・ジョエルの「ウィ・ディドント・スタート・ザ・ファイア」は、20世紀の出来事を早口の羅列で歌い上げるという意欲的な構成が話題となった曲で、まさに一つの時代が終わろうとしている感覚をリスナーに強く印象づけました。5位のソウル・II・ソウルによる「バック・トゥ・ライフ」は、ロンドン発のクラブミュージックがアメリカのチャートにも浸透していったことを示す好例であり、ヒップホップ的なビートとソウルフルな歌唱の融合は、この後のR&Bの潮流にも大きな影響を与えていきます。
6位のテイラー・デインや8位のミリ・ヴァニリといった、当時勢いのあったダンス/ポップ系アーティストたちの存在も、80年代後半のMTV文化が生み出したポップミュージックの豊かさを物語っています。一方で7位のローリング・ストーンズがしっかりと存在感を示しているのは、ロックのベテランたちが世代を超えて聴かれ続けていたことの証でもあるでしょう。9位のロッド・スチュワートによる「ダウンタウン・トレイン」は、トム・ウェイツのカバーながら都会的な哀愁を纏った名唱として知られ、ベテランシンガーの表現力の深さを感じさせます。10位のボビー・ブラウンは、ニュージャックスウィングという新しいグルーヴを引っ提げて、まさにこれから始まる90年代型R&Bの旗手として存在感を放っていました。
こうして見渡すと、この週のチャートはソウル、ロック、ダンス、ポップスといった多様な音楽が並存しながらも、それぞれが次の10年へと歩みを進めていく躍動感に満ちていたことがわかります。1位のクインシー・ジョーンズによる楽曲は、まさにその象徴として、世代とジャンルを結びつける懐の深さを聴かせてくれる一曲だったのではないでしょうか。
1990年1月14日付 TOP10(出典:J-WAVE TOKIO HOT 100)
- 1位 I’LL BE GOOD TO YOU — QUINCY JONES WITH RAY CHARLES AND CHAKA KHAN ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 2位 ANOTHER DAY IN PARADISE — PHIL COLLINS ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 3位 RHYTHM NATION — JANET JACKSON ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 4位 WE DIDN’T START THE FIRE — BILLY JOEL ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 5位 BACK TO LIFE — SOULⅡSOUL ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 6位 WITH EVERY BEAT OF MY HEART — TAYLOR DAYNE ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 7位 ROCK AND HARD PLACE — THE ROLLING STONES ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 8位 BLAME IT ON THE RAIN — MILLI VANILLI ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 9位 DOWNTOWN TRAIN — ROD STEWART ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す
- 10位 ROCK WITH’CHA — BOBBY BROWN ▶ YouTube Music / Spotify / 🛒 Amazonで探す / 🛒 楽天で探す


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