さらさというシンガーの現在地|湘南発ネオソウルと『Live Bluesy』の射程

夜明け前の海と、水面に落ちる淡い光を思わせる抽象的なイメージ アーティスト

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チャートの数字を眺めていると、たまに順位の外側から立ちのぼってくる声がある。さらさという湘南出身のシンガーソングライターの歌は、まさにその種類だと思っている。派手に跳ねるわけでもなく、器用に寄せるわけでもなく、ただ「この人の声じゃないと成立しない温度」で曲を鳴らす。ラジオでかかってくると、車を運転していた手がふっと緩む。そういう音楽をつくる人だ。

さらさが手にしているのは、うまく歌おうとしない歌のうまさだ。力を抜いた場所からしか出ない音を、彼女はずっと録っている。——2021年のデビューからのおよそ5年、この一点はほとんどブレていない。ブレていないのに、鳴らしているサウンドは着実に更新されている。今回はそのあたりを、ファンにも「ああ、そう言われるとそうだ」と頷いてもらえる解像度で辿ってみたい。

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このアーティストの要点

  • さらさは湘南(神奈川県茅ヶ崎)出身のシンガーソングライターで、2021年7月にデビュー曲「ネイルの島」を発表した。
  • デビューから1年でFUJI ROCK FESTIVAL ’22に出演し、2022年12月に1stアルバム『Inner Ocean』をリリース。同作は第15回CDショップ大賞2023の関東ブロック賞を受賞した。
  • ソウル、R&B、ロックを内包した「ブルージーに生きろ(Live Bluesy)」をテーマに掲げ、憂いを帯びた歌声で知られる。
  • 2026年、EPICレコードジャパンよりメジャーデビュー。8月5日にメジャー1作目となるミックステープEP『Live Bluesy』を発表した。
  • ドラマ『透明な夜に駆ける君と、目に見えない恋をした。』のED主題歌「YOU」を2026年1月にリリースし、リスナー層をさらに拡張している。

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湘南で育った耳と、90年代R&Bへの憧れ

さらさの出発点を語るとき、湘南という土地の名前は外せない。海に臨む茅ヶ崎で生まれ育ち、幼少期からダンスを続けていたという経歴は、彼女の音楽の重心を理解するうえで大事な補助線になる。歌の前に体があった。リズムの上で動く感覚が先に染みついていて、そこに歌が乗ってきた——プロフィールを追うほど、その順序が効いている気がしてくる。

音楽的な原点として本人が語るのが、中学生のときに触れたラベルの「レディ・マーマレイド」だ。この曲で踊ったのをきっかけにR&Bやファンクを掘り始め、高校では軽音楽部、そして高校卒業前に横浜で参加したセッションイベントでMVPに選ばれる。ここが職業音楽家としての最初の扉になった。ちなみにそのセッションには、King Gnuの勢喜遊やWONKの安藤康平ら、いま思えばシーンの中核を担う面々がいたと伝えられている。18歳前後の子が、そのメンツの前で歌ってMVPを持ち帰る。この一点だけでも、彼女が持って生まれた芯の強さは推せる。

面白いのは、そのあと一度音楽から離れていることだ。当初はセッションミュージシャンを目指したものの「向いていない」と感じて中断したと語られている。約1年のブランク。FKJとマセゴのライブ映像を観て火が戻り、慶応大学のブラックミュージックサークルでw.a.uの松川コウタと出会って「ネイルの島」を制作する——という流れになる。ここを丁寧に読むと、彼女の歌に一貫して漂う「肩の力の抜き方」の出所が見えてくる。うまくやろうと思っていた時期に一度躓いて、諦めがついた地点から鳴り始めた声。だからこそ届く音域がある。

90年代後半の日本の女性R&Bシーンに憧れがあり、CHARAやUAは自分の世代にとってのロールモデルだ、と本人は語っている。この二人を並べて出す感覚が、彼女の音楽性の輪郭をよく表している。歌謡やJ-POPの語法をベースに、ソウルやオルタナのテクスチャーを溶かし込む——CHARAとUAが90年代に切り拓いた場所を、2020年代の湘南から更新している人。そう言ってもたぶん外れない。

「ブルージーに生きろ」というテーマの意味

結論から言うと、さらさの活動を貫くキーワードは「Live Bluesy(ブルージーに生きろ)」である。これは彼女の造語で、悲しみや落ち込みから生まれた音楽ジャンル“ブルース”に影響を受けたものだ、と本人が説明している。この言葉、字面だけ見ると「暗い」「重い」と誤解されかねないのだけれど、実際の使い方はまったく逆に近い。

ブルースをブルースたらしめている核は、暗い感情そのものではなく「暗さを持ったまま日常を生きる技術」だ。悲しみを追い出さず、飼い慣らして、笑いや踊りに変えていく。さらさの歌にはこの技術がある。だから彼女のバラードは湿っぽくならないし、アップテンポの曲にも影がある。この二重の温度が、他のシンガーではなかなか出ない。

2026年8月にリリースされたメジャー1作目のミックステープEPがそのまま『Live Bluesy』というタイトルなのは、この5年間の活動を一度きちんと言語化しにきた印だと受け取っている。EPICレコードジャパン移籍というキャリアの節目で、まずスローガンを掲げ直す。ここに彼女の職人的な計算がある。

デビュー曲『ネイルの島』が置いた基準

2021年7月にリリースされたデビュー曲ネイルの島🛒楽天は、いま聴き直すと本当に妙な曲だ。デビュー作にありがちな「掴みにいく身振り」がほとんどない。誰かに好かれようとしていない。それなのに、一度聴くと妙に残る。

本人がインタビューで語っている通り、この曲は「何者にもならなくていい、どう思われてもいい、と諦めがついた時期だからこそ書けた」ものだという。SNSにアップしてみたら大きな反響があり、力を抜くことで届かないところに手が届くと気づいた。この気づきは、以降のすべてのリリースに通底している。ネオソウルというジャンルの様式に頼るのではなく、様式の隙間に自分の声を置いていく。この置き方が、彼女の一番の武器だ。

ちなみにこの曲、J-WAVEの「TOKIO HOT 100」で最高位4位という数字を記録している。デビューシングルでこの位置まで上がるのは、業界内でもかなり異例だ。仕掛けが大掛かりだったわけではない。曲そのものが持っていたスロー・スターターの粘り強さで、じわじわ上がっていった。

音楽性の核と変遷

さらさの音楽性は、ネオソウル/R&Bという大枠のなかにありつつ、そこに強引に括られることを常に少しだけ拒んでいる。ジャケットの色使いも、バンドセットの編成も、SSW的にアコースティック一本にもいかない。この「ちょうど間の場所」に居続けるバランス感覚が、彼女の音楽の核だと思う。

初期作を並べて聴き直すと、明らかにビートに寄せた曲(ヒップホップ的なプロダクション)と、ギターの弾き語り寄りの曲が同居している。1stアルバム『Inner Ocean』にDJ Mitsu the BeatsのRemixとOlive OilのRemixが並んで入っていたことは象徴的だ。日本のヒップホップ/ビートメイカーの系譜と、ネオソウルSSWの系譜。この二つを一枚のアルバムで平然と横並びにする勘の良さ。

そう。ここが本当にうまい。

もう一点、ファンなら気づいているかもしれないが、彼女のトラックには時々「歌の入り待ち」の長さが極端に取られている曲がある。前奏が終わってから最初の声が入るまで、普通のポップスなら1〜2秒のところを、彼女は数拍余分に引っ張ることがある。この「入り待ち」は、聴き手にわずかな身構えを作り、そのぶん最初のフレーズの重みを増す装置だ。ネオソウルの語法ではよく使われるが、日本のポップスの流通速度からすると勇気のいる選択でもある。この間合いを保てるところに、彼女の音楽的な自信が出ている。

変遷という観点で見ると、初期は「ローファイでスモーキーな一室のR&B」だった音が、2024〜2025年あたりから徐々にバンドの生々しさを増していく。2025年10月の「Thinking of You」、そして2026年の「YOU」「KAMINARI」あたりは、明らかに空気の入る量が違う。狭い部屋で録った密度から、もう少し外に開けた空気の中で歌う密度へ。ライブ映像を見るとよく分かるが、彼女はいま、耳の届く範囲を意識的に広げようとしている段階だ。

聴きどころ3点

  • 掠れと芯が共存する声質:憂いを帯びた低音域と、抜けの良い中高域が同一フレーズの中で切り替わる。この振れ幅が最大の個性。
  • ジャンルの縫合:ソウル/R&B/ロック/ヒップホップ由来のビートを一曲の中で行き来する。1stアルバムでDJ Mitsu the BeatsとOlive Oilの両Remixが並ぶ座組は象徴的だ。
  • 「力を抜く」ことで届く歌:張り上げず、決めにいかず、日常のトーンのまま核心に触れる書法。デビュー曲『ネイルの島』からずっとこの姿勢。

代表作・ディスコグラフィの読みどころ

2022年4月に1st EP『ネイルの島』をリリース(デビュー曲を軸に構成)、同年12月14日に1stアルバムInner Ocean🛒楽天を発表——ここが最初の到達点だ。11曲・約42分。名古屋のラッパーNEIをフィーチャーした「Blue」、ライブでの人気曲「朝」、先行シングル火をつけて🛒楽天、そして「太陽が昇るまで」が並ぶ構成で、リリース後は各ラジオ局でも高評価を得た。「太陽が昇るまで」はラジオチャートで3週連続1位を記録している。

『Inner Ocean』は第15回CDショップ大賞2023の関東ブロック賞を受賞している。この賞は全国のCDショップ店員の投票で決まるもので、いわゆるチャートロジックとは別軸の評価軸だ。現場で実際に盤を売っている人たちが「これは推したい」と手を挙げた作品。彼女がストリーミング時代の中で、それでも「一枚を通して聴かせるアルバム」を成立させていたことの証左だと思う。

その後の動きも見ておきたい。2024年以降のシングル群を経て、2025年10月にThinking of You🛒楽天をリリース、同秋の東名阪ワンマンツアー「Thinking of You TOUR 2025」で自身最大規模のツアーを成功させている。年明けの2026年1月にはYOU🛒楽天をリリース。この曲はMBS『ドラマ特区』枠で放送された『透明な夜に駆ける君と、目に見えない恋をした。』のエンディング主題歌に起用されており、主演の藤原大祐と永瀬莉子が登場するコラボMVも公開された。ドラマタイアップという明確な間口が付いた最初の楽曲、という意味でもキャリアの区切りになる。

そして2026年6月、EPICレコードジャパンからのメジャーデビューが発表された。同年8月5日リリースのミックステープEPLive Bluesy🛒楽天には、先行配信の「KAMINARI」(7月7日配信)を含む8曲が収録。「風になる」「Thinking of You」「YOU」「青い太陽」「Thinking of You (MURO’s KG REMIX)」など、この数年の代表曲とリミックスが並ぶ構成で、キャリアのショーケースとしても、次章の予告篇としても機能している。EPを「ミックステープ」と呼ぶことの含意(完成品然としない、途中経過を見せる余白のあるフォーマット)も、彼女の「ブルージーに生きろ」というスタンスと綺麗に一致している。

声の質感——なぜ「掠れ」と「芯」が両立するのか

もう少しだけ、声そのものに踏み込んで書いておきたい。さらさの声を初めて聴いた人は、たぶん最初に「掠れ」に気づく。少し曇った、煙草の煙が漂うような質感。ただ、この掠れは弱さではない。よく聴くと、掠れているのは表層だけで、その奥に驚くほど太い芯がある。この二層構造が、彼女の歌の一番わかりにくくて、一番おいしい部分だ。

技術的に言えば、地声寄りのミックスボイスと、ため息のような息成分の混ぜ方が絶妙——なのだけれど、そういう分析はここではあまり意味がない。大事なのは、この声が「感情の解像度」に直結していることだ。喜びも寂しさも、はっきりと分節せず、グラデーションで置く。人が実際に日常で感じている感情は、笑顔/泣き顔のように二値ではない。もっと曖昧で、混ざっていて、名前がついていない。彼女の歌はその名前のない領域を掬い上げるのに適した器なのだと思う。

1stアルバム『Inner Ocean』のタイトルが「内なる海」であることも、この文脈で読み直すと腑に落ちる。海はひとつの色ではない。朝と昼と夕方で違うし、凪の海と荒れた海はまるで別物だ。彼女はその「同じ場所の違う顔」を録音している。だから同じ曲を何度聴いても、その日の自分の状態によって別の表情に見える。

カルチャー的な文脈と、共演者の広がり

さらさを2020年代の日本の音楽シーンのどこに置くか。個人的には、SIRUP、iri、そしてKing Gnuらが切り拓いてきた「ジャンル横断型・都市型シンガー」の系譜の、少し内省的な側に置きたい。派手にビートで押すのではなく、テクスチャーで押す側の書き手。

共演・客演の広がりも、その位置を裏付けている。鞘師里保やMichael Kaneko feat.大橋トリオへの歌詞提供をはじめ、清 竜人、さかいゆう、s**t kingz、碧海祐人、gatoといった名前が並ぶ。フェスや対バンでは大橋トリオ、LOVE PSYCHEDELICO、GLIM SPANKYといった、世代もジャンルも異なる面々と接点を持ってきた。この“交友録”の広さは、彼女の音楽が特定のクラスタに閉じないことの証明でもある。

音楽以外に美術作家やアパレルブランドのバイヤーとしての顔も持っていることも、地味に効いている。ミュージシャンとしての世界観だけで完結せず、視覚と衣装の側にも自分の言葉を持っている人。だからアーティストビジュアルや衣装、ジャケットのルックにも、いわゆる「マネジメント任せ」の温度がない。この総合的な作家性が、Z世代を中心に「刺さる人には深く刺さる」熱心なリスナーを生んでいる。

2026年、メジャーへの移行が意味するもの

結論から言えば、さらさのEPICレコードジャパン移籍は「サウンドの変質」ではなく「射程の拡張」の話だと見ている。インディー時代の音の質感を捨てにいく人ではない。むしろ、あの質感を保ったまま、届く距離を数段伸ばそうとしている。

その傍証として、メジャー1作目のフォーマットがフルアルバムでも通常のEPでもなく「ミックステープEP」である点は注目していい。ヒップホップ由来のこの言葉は、完成品としての格式より、流動性・現在性を優先するフォーマットだ。メジャーデビューの第一手で完璧な名刺を切りにいくのではなく、「いまの自分を並べる」EPを選んだ。これは自信の表明であり、同時に、彼女がこれからも自分のペースで進むという意思表示だと受け取っている。

「LIVE BLUESY TOUR 2026」——2026年10月29日の名古屋CLUB UPSET、10月30日の大阪Shangri-La、11月4日の東京LIQUIDROOM——という東名阪の対バンツアーが控えていることも合わせて考えると、この秋〜冬は彼女のキャリアで一つの節目になりそうだ。LIQUIDROOMをすでにソールドアウトさせている人が、その場所にゲストを迎えて対バンで戻ってくる。ワンマンで見せる完結性ではなく、他者と並んだときの化学反応を試しにいく。このスタンスも「Live Bluesy」的だ。

湘南という「距離感」がサウンドに与えていること

もうひとつ、意外と語られていない補助線を置いておきたい。湘南という土地の距離感の話だ。茅ヶ崎は東京から電車で1時間強。都心にも出やすいが、日常のスケールは完全に海側にある。この「東京に近いが、東京ではない場所」で音楽を作る感覚は、彼女のサウンドに確実に反映されている。

都会型のR&B/ネオソウルは、往々にして「密度で押す」音楽だ。ビートを詰め、音数を重ね、都会の速度感で走らせる。さらさのプロダクションはその逆で、隙間で聴かせる。ドラムが鳴っていない小節の長さ、シンバルが決まった後の余白、ボーカルとベースの間に空いた空気の層。都会の音の詰まり方と、地方の音の抜け方の中間に彼女の場所がある。

これは戦略的にそうしているというより、育った環境がそのまま音になっている感じがする。海が見える場所で作る音楽と、地下鉄の音がする場所で作る音楽は、どうしたって違う。彼女がずっと湘南を離れずに活動しているらしいこと(一部インタビューで語られている)も、この一貫性に効いていると思う。

今チャートでの立ち位置

ラジオを中心に、さらさは「順位が上がっては消える曲」ではなく「じわじわと定着する曲」を積み上げてきたタイプだ。デビュー曲「ネイルの島」がJ-WAVE「TOKIO HOT 100」で最高位4位、「太陽が昇るまで」がラジオチャート3週連続1位というトラックレコードが、それを裏付けている。この二つの数字はどちらも、キャンペーンの瞬間最大風速ではなく、リピート再生と選曲家の指名で押し上がっていくタイプの動きだ。

だからチャートでさらさの名前を見つけたときは、ぜひ順位の数字だけでなく「何週目か」「どの曲か」も一緒に見てほしい。この人の曲は、初動より三週目のほうが面白いことが多い。ドラマ主題歌となった「YOU」、メジャー先行の「KAMINARI」あたりが、これからどれだけ長く電波に残るか。個人的に一番楽しみにしているポイントはそこだ。

入門動線

  • まずこの1曲:「ネイルの島」——さらさの音楽の設計思想が最も素朴に出ているデビュー曲。ここから始めるのが一番早い。
  • 次にこの1枚:1stアルバム『Inner Ocean』——ローファイなR&Bからバンドサウンド、Remixまで、初期の射程がまとまっている。
  • 深めるならこの1枚:メジャーEP『Live Bluesy』——ここ2〜3年の代表曲と、EPICでの新章の入口が同居する現在地。

これから聴くならどこから

さらさの音楽は、いわゆる「一発で全部わかる」タイプの音ではない。二度目、三度目でようやくフックが立ち上がってくる。だから最初の1周で判断せず、生活のBGMとして数日置いてほしい。金曜の夜、日曜の朝、雨の日の帰り道。温度の違うタイミングでかけると、そのたびに違う輪郭が浮き上がる。この「日常のなかで少しずつ形が変わる感じ」が、彼女の音楽の一番おいしい部分だと思う。

入門としては、まずデビュー曲「ネイルの島」を通しで一度。次に1stアルバム『Inner Ocean』を頭から最後まで一気に。ここまで来たら、あとは「Thinking of You」「YOU」「KAMINARI」の最近のシングル群を新着順にさらう。この順路が一番迷わない。特に『Inner Ocean』は、アルバムとして流れで聴くと、単曲では見えない起伏が浮き上がるのでおすすめだ。

そして、いつかライブに行ってほしい。彼女はスタジオ音源より、生の場所で温度が2〜3度上がるタイプのシンガーだ。声の掠れ方、バンドの息遣い、客席との距離。録音では削られる質感が、ライブハウスの空気には残っている。「LIVE BLUESY TOUR 2026」の東名阪はすでに詳細が公開済み。もしタイミングが合うなら、ここが2026年のさらさを目撃する一番いい場所になるはずだ。

最後にもう一度だけ書いておきたい。さらさが手にしているのは、うまく歌おうとしない歌のうまさだ。この地味だけれど厄介な武器は、たぶんこの先の10年、彼女を長く聴かせ続けるだろう。順位が上がる週も下がる週もあるだろうけれど、そのすべての週の下に、この一貫した芯がある。数字はスナップショットに過ぎない。彼女が積み上げているのは、もう少し長い時間軸の資産だと思っている。

まずこの作品から聴く

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  • Inner Ocean — 初期の射程を集約した1stアルバム
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  • YOU — ドラマED起用の転機となる一曲
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  • Live Bluesy — メジャー第一手のミックステープEP
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